暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 狩谷鋭美の恋路
後編 ヒーローとヴィランのコンビ
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 アタシは迎えの車が来る場所まで船越に送って貰い、そこで最後の言葉を交わすことに決めた。

「ここに、迎えが来ることになってるから……」

「そっか。――じゃあ、次は加室孤児院にでも行こうぜ。みんなとさ」

「……そうね」

 もっといろいろと、言葉を交わしたかったけど、もう車が見えてきていた……。

「ねぇ、船越」

「ん?」

 ――だから、せめて確かめておきたい。船越の、気持ちを。

「アタシとの約束……一緒にヒーローになる約束、忘れないでね?」

 それだけが、ただただ不安だった。

 アタシよりずっと魅力的な女の子なら、星の数ほどいる。
 そんな連中に船越が惹かれて、牢屋にいるアタシのことなんて忘れてしまっていたら……なんて思うと、胸が張り裂けそうだったから。

 だけど、当の船越は「なんだ、そんなことか」と言わんばかりの苦笑いを浮かべて、「心配ないよ」と表情で伝えて来る。

「ああ、忘れるもんか」

「ほ、ホントにね?」

「忘れないったら! そこまで言うなら、こうするか?」

 すると、船越はズイッとアタシの前に出ると、右手の小指を突き出してきた。
 ――古典的だけど、嫌いじゃないわね。

 アタシは深く頷いて、自分の右手の小指を、船越の指に絡ませた。そして、誰もが知っている決まり文句を口にする。

「ゆーびきーりげんまん、うそついたーらハリセンボンのーます」

「ゆーびきった!」

 子供みたいだけど、アタシにはそれが嬉しかった。まるで、憎しみに染まるずっと前のような、子供の頃に戻れたような気がして。

 ……もし、小さい頃から船越がずっと傍にいてくれたら――アタシはきっと、罪なんて犯せなかったわ。
 好きな人を悲しませるようなことなんて、できるはずがないもの。

「狩谷鋭美。刑務所に戻る時間だ」

 そんな感慨を断ち切るように、刑務官の冷たい声が突き刺さる。同時に、その一言でアタシは今の自分の立場を思い知らされてしまった。

 どんなに綺麗事を並べたって、今のアタシは囚人。
 本来、外の世界の人間――ましてや、人々を守るために戦ったヒーローと恋ができるような身分なんかじゃないのよ。

 はは、やっぱりアタシなんか船越とは釣り合わないのかな……?

「船越。今日のアタシ、無様だったでしょ? 嘘ついて、見栄張って、そのくせ大泣きして腰を抜かして、大人ぶるくせに炭酸も飲めないなんて、笑っちゃうよね?」

「……」

「やっぱ、もう、我慢なんてしなくていいよ。思う存分、アタシを笑えばいいわよ。どうせ、アタシは囚人なんだから。最低の、女なんだから」

 そんな自嘲の心が生まれたせいなのか、アタシは自分が恥だと思っていたことを
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