暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 文倉ひかりの恋路
後編 目指して行く幸せ
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その言葉に、今度は私の表情が不安に包まれた。
――忘れようと、していた? とにかく、話を最後まで聞かないと……。
「俺はお前と離れた後、お前を守れなかった自分が許せなくて――不良になった。俺みたいな奴が、女の子と幸せになれるわけが、なかったんだって」
「でも……舞帆さんに助けてもらったんでしょ? 元に戻れるようにって……」
「ああ。……俺は、『元の自分だったらこうする』って思うことを、片っ端からこなしていったさ。いつかまた、お前の時みたいに『女の子と一緒になれる』ようになる……って、信じて」
――やっぱり大路郎君、私のこと、ちゃんと見てくれてたんだ。嬉しいな……。
「だけど、少しずつ周りの評判とか、自分自身が昔に戻っていくのがわかってくると……不安になるんだ。お前のこと、思い出してさ」
「……!」
「また、どこかで間違えるんじゃないか。なにかを間違えるんじゃないか。そう考えだしたら、不安な気持ちが止まらなくなってたんだ。だけど、そんなことじゃあいつまで経っても前に進めないってこともわかってた。だから、俺は――」
瑳歩郎の頭を優しく撫でながら、彼は死刑判決を受け入れたかのような、全てを諦めた顔になる。
「――お前を、忘れようとした。舞帆や、平中に興味を持とうとして、お前の記憶を、拭い去ろうとしてたんだよ」
「……でも、大路郎君は忘れられなかったんだね」
「ああ。忘れられなかった。どれだけ何もなかったかのようなそぶりをしたって、お前の顔が頭を離れることはなかったよ。むしろ、お前を忘れようとするたびに、俺はお前のことが心配になってた」
何の事情も知らず、無邪気にセイントカイダーの人形で遊ぶ瑳歩郎を見つめながら、大路郎君は自嘲気味な口調で、自分自身の行いを振り返っていた。
「俺はそのことを、『忘れないように努力しているんだ』なんて、都合よく解釈してたよ。でも、加室さんからお前の話を聞いて、気づかされた」
「大路郎君……」
「『忘れたくても、忘れられなかった』んだ。俺自身の意志なんかじゃどうにもならないくらい、お前の存在が俺の中で大きくなってたんだ」
彼は遠い目で青く澄み渡る空を見上げ、ふぅ、とため息をつく。自分の心とは裏腹に綺麗な青空が眩しい……とでもいいたげな顔をしている。
あなたは汚れてなんか、いないのに。
「それがわかった以上、俺はなにがなんでもお前に尽くすべきなんだって思った。でも……お前のことを見捨てようとした俺に、そんな資格があるわけないよな」
彼はそこで言葉を切ると、断罪を待つかのような目で私を見据えた。
「だから、俺はその資格が欲しい。お前に償える、資格が。許してもらえるなんて思っちゃいないけど、それでもお前のために
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