暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 平中花子の恋路
後編 これからの恋心
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っ!」と、さも「やり切った」という感じの顔で言われてしまったせいだ。

 もう私の夢は自力で果たせるんだから、自分の出る幕はない、と彼は言うけれど、そんなことはない。

 私の夢は、彼との関わりで少しだけ変わった。モデルにはなりたい。なりたいけど、問題はそこから先だ。

 彼のような男を、他の女の子が放っておくはずがない! きっと私がいない間に、彼を狙う人が出てくるはず。

 ――だから、私は何よりも彼と結ばれたい。他の誰のものでもない彼の隣で、夢を叶えたい! それこそが、今の私の夢なの。

 結局、受験勉強に勤しんでも彼や私の友達と同じ高校には入れなかったけど、それでも私は諦めなかった。

 「ヒーロー」でバイトをする傍ら、モデルについての勉強も始めたのよ。

 いつかファッション雑誌に載るくらいのすごいモデルになって、彼をアッと言わせるんだから! そして、私のことが好きって言わせられるくらい、魅力的になる!

 前まではデブで不細工だったから恋に臆病になっていて、素直じゃない態度だったけど……今は違う。「好き」っていう気持ちだけは、二度と裏返さない!

 ファッションモデルになることと、彼と結ばれること。

 二つに分かれた夢を、両方とも叶えると誓った私は、かつてあの人と二人で登った山に弟を連れていき、そこで決意表明をすることにした。

「お姉ちゃん、こんな山の中で何するの?」

「いーい、達弘? お姉ちゃん、これから夢に向かって邁進する誓いを立てるんだからね! 証人としてそこで見てなさい!」

「はーい。お姉ちゃん頑張れー!」

 無邪気な弟の応援に背中を押してもらった私は、山から見える夕暮れの空へ向かい、思い切り息を吸い込み――叫ぶ。

「船越大路郎さああぁーん! 好きでぇーす! 愛してまぁあーす! 私と――平中花子と、結婚を前提にお付き合いしてくださぁーいっ!」

 言いたいことを、言いたいだけ声にして、私は想いの丈を夕日に打ち明けた。聞く方が恥ずかしくなりそうなほどの盛大な愛の告白が、こだまとなって空へと響き渡る。

「お姉ちゃん、船越さんって誰?」

「あんたのお兄さんになる人よっ。ふふふっ」

 自分の本名も知らない相手に告白なんて、ちょっと変かも知れないけど……別に構わないわ。

 彼が――船越さんが好きって気持ちさえ誰にも負けない限り、夢だってきっと叶うんだから!

 ……そして、高校三年生の現在。華の十七歳となった今は――

「うえぇえぇ〜んっ! 達弘ぉ〜! また、また、また船越さんに告白できなかったよぉ〜っ!」

「お姉ちゃん、元気出してー」

 自宅で幼い弟に頭をナデナデしてもらいながら、私は今日も愛を伝えられなかったと嘆くのでした。

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