暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 桜田舞帆の恋路
最終話 譲れない想い
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「ッ!?」
……だけど、賭けは失敗してしまった。
ドルフィレアは、見抜いていたんだ。私の胸中を。
左手に握られたセイトバスターが火を噴く直前に、私を捕まえていた触手の先端が銃身を弾き飛ばしてしまったわけ。
「もう作戦は終わりでしょうか? でしたら、今度こそ終わりにさせていただきますわ」
余裕のこもったドルフィレアの口調に、私は唇を噛み締める。あんなに船越君が勇気をくれたっていうのに、私は何も出来ないの?
……勝利を持ち帰ることも、出来ないのっ!?
どうして、私はいつも……!
「やっぱり、私なんて――」
そう呟いて、私は自分の無力さを悲観しようとしていた。船越君にあれほど必要だと言ってもらっていたのに、それに応えられなかったから。
しかし、それは早計だった。私は諦めるにはまだまだ早すぎるらしい。
……水中に漂うセイトサーベルが目に入らなければ――私は生涯それに気づくことはなかった!
「――ッ!」
私はドルフィレアがセイトバスターに注目している間に、すぐそばを浮遊しているセイトサーベルの柄に手を伸ばす。
彼女にとって、私の唯一の勝機であったセイトバスターが失われたために、その表情には幾分か緩みがあった。
――勝者が見せる、僅かな油断。チャンスは、やはりそこにしかなかったみたいね!
「……ッ!? まだ武器がッ!?」
剣を握る瞬間、ドルフィレアはハッとして水圧カッターを発射しようと銃口をこちらに向ける! セイトサーベルに気づかれた!
「これで本当に最後よ! たああぁーっ!」
もう迷う必要も暇もない! 私もセイトサーベルを勢いよく突き出し、最後の攻撃に出る!
水圧カッターと、セイトサーベル。
その二つの刃が交錯した瞬間、私は――私達は、意識を水に溶かしてしまった。
……それから三時間後、私と剣淵さんは同じ病室のベッドで目を覚ましていた。
後からお母さんに聞いた話によると、決闘は相打ちに終わり、引き分けという判定がなされたらしい。
水中にいるままで変身を解かれて、気を失っていた私達は船越君が飛び込んで救出してくれたみたい。毛布に包まれてブルブル震えている彼の姿が、申し訳なくもやっぱり微笑ましい。
――でも、「わたくしが暖めて差し上げますわー!」なんて叫びながら彼に抱き着こうとする剣淵さんを止めるのは大変だったわね。あの人、ホントに遠慮がないんだから。
その後、私と船越君は剣淵財閥のクリスマスパーティーに招待されて、セレブなご馳走をたくさん頂いたんだけど……マナー知らずな船越君をリードするのは大変だったなぁ。
それでも、慣れない彼の手を引いてダンスを踊るのは格別の楽しさだ
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