暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
番外編 桜田舞帆の恋路
最終話 譲れない想い
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、自分でもわかるくらいに顔を真っ赤にしてしまう。
 ほ、本人の前で何を言い出すのよ、もうっ!

 ……でも、当の船越君は私の帰還に喜ぶばかりで、お母さんの「大路郎が好き」発言は聞いていない様子だった。ホッとしたような、残念なような。

 それにしても、お母さんには敵わないな。私のことなんて、全部お見通しって感じ?

「ねぇお母さん。私が水の中にいる時、船越君は……なんて言ってたの?」

「あら、気になる? 本人に聞けばいいじゃない」

 素朴な疑問を投げ掛ける私に対し、お母さんは一人で勝手にハイテンションになっている船越君の肩をちょいちょいと指で叩いて、彼を話に混ぜてきた。

「ん、どうした達城?」

「大路郎。舞帆があなたのラブコールをもう一度聞きたいらしいわよ」

「ラ、ラ、ラ、ラブコールゥゥッ!?」

「ラブ……? ああ、あれか」

 お母さんの出してきた爆発的ワードに私の顔がオーバーヒートするのを気に留めず、彼は思い出したように目を見開く。

 そして、急に真剣な顔で私の目を見詰めてきた。
 その普段の言動からは想像もつかないような凛々しさに、思わずドキッとなる。

「舞帆。セイントカイダーは、お前じゃなきゃダメなんだ」

 慰めるような口調ではない。なんというか、強く訴えているような声色だった。

「確かに、お前はまだセイントカイダーになったばかりだから、うまくいかないことも多いかも知れない。だけど、それでも俺には、セイントカイダーとしてのお前が必要なんだ!」

「船越……君……?」

「強いとか、弱いとか、そんなことどうだっていい! 俺はお前をすごい奴だって思うし、頼りにしてる。だから、俺は『お前』にヒーローであって欲しいんだ!」

 ――もしかしたら、彼は彼なりに私の胸のうちを察していたのかもしれない。
 ドルフィレアと私の戦闘中の会話は、観客席からは遠すぎて聞こえなかったはずだけど、それでも私の動きを見て、私の異変に気づいていたのね。

 本音を言うなら、そんなことより私の気持ちに早く気づいて欲しかったんだけど。

 そんな彼の鋭さや鈍さに心の奥底で苦笑している私に、彼は最後の言葉を掛けてくれた。

 絶対に忘れられない、私の存在意義に繋がる、あの言葉を。

「だから、何があっても俺の目の前にいてくれよ。お前がいないと、俺はなんにも出来ないんだからさ」

「……うんっ……!」

 それは、彼が私を必要としてくれていることを意味していた。

 強いとか、弱いとかじゃない。

 私が――桜田舞帆が、彼にとっては必要。私を見詰める強い視線が、それが慰めなんかじゃないことを表していた。

 ――そうよ、そうよね。船越君みたく、卑屈になるところ
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