暁 〜小説投稿サイト〜
落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
最終話 ヒーローの門出
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れなかったんだ。

 彼女こそ、この学園を守り抜いた真のヒーロー。そして俺は、そんな彼女を称賛し、これからの活躍を願って鼓舞しようと思う。

 ……それが、セイントカイダーだった者としての、最後の大仕事!

 体育館ステージから見える、二階の客席。

 俺から見て、その中央で立つ彼女に面と向かって、俺は歌う。

「だから、歌おうと思う。『彼女』のこれからを信じて! ――『生裁戦士セイントカイダー』ッ!」

 俺の願いを込めた一言を合図に、勇壮なイントロが観衆を沸かせる。

 この俺、船越大路郎の戦いは終わりを告げ、セイントカイダーの戦いは新たな局面を迎える。

 そのために俺にできる、精一杯の激励。

 それを真正面から受け止めてくれた舞帆の頬を、感涙が伝う。

 桜田舞帆。

 ――俺は、君に会えて、よかった。

 ……だから、ありがとう。そして、これからはずっと――笑顔でいてほしい。


 その想いを歌詞に乗せて、俺は力の限り歌い続けた。

 それが届いたのかは、わからない。

 激励になったのかも、わからない。

 確かなのは、込み上げて来る感情が溢れ出すように涙する、舞帆の微笑が見えていた、ということだけだ。

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