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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第23話 無謀な一撃必殺
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し、苦しんで、荒んでいるようで、心のどこかで救いを求めているような……そんな、どことなく俺に似たなにかを感じさせる彼女に、手を差し延べるように。
――かつて、舞帆が俺にそうしたように。
「……なりたいわよ。なれるもんなら、なりたい。なりたいよ」
そこに、会った頃のような彼女――ラーカッサの姿はなかった。
俺の目の前にいるのは、自分の罪深さを自覚して啜り泣く、狩谷鋭美という一人の少女でしかなかった。
出会ってからほんの数十分しか経ってないはずの彼女が、こんな顔を見せた。
そのくらい、この少女が抱えていた闇は重く、彼女自身も無理をしていたんだろう。
少し内心に入り込まれるだけで、ここまで心の障壁が脆く崩れてしまうのだから。
俺はそんな彼女の涙を指先で拭い、一枚のカードを差し出した。
それを目にした狩谷は、「これをどうするつもりなのか」と不思議そうな顔をする。
「俺のヒーローライセンスだ。罪を償ってまたいつかヒーローになったら、返しに来いよ」
「えええーっ!? ちょ、ちょっとアンタ、どういうことよそれっ!?」
予想以上の驚きっぷりに俺は目を丸くしたが、彼女の反応はそれ以上だった。
まあ、自分が喉から手が出るほど欲しがっていたものが、他人からあっさり渡されたことが衝撃的だったんだろう。
「俺は元々、舞帆を守るため――だから、お前らを止めるためだけにライセンスを取ったんだ。だから戦いが終わった今、ヒーローを続ける必要もなくなった……って、思ってたんだけどな」
「じゃ、じゃあなんでわざわざアタシに……? アタシは敵よ!? 敵にライセンス渡してどうすんのよ!」
「もう違うだろうが。俺はさ、お前見てると、なんか昔を思い出すんだよ」
「え?」
意外そうな顔をする狩谷に苦笑いすると、俺は口角を上げて自分の恥ずかしい昔話をした。
「俺さ、昔は女の子のことでひどく荒んでて、母さんに迷惑かけたりケンカしたりで、もう最低のクズ野郎だったんだよ。でも、そんな俺の世話をかいがいしく焼いてくれる娘がいてな。その娘のおかげで、俺はちょっとは元通りになれたんだ」
俺はそこで一旦言葉を切り、父親を叱りまくる舞帆に目を向ける。
名前こそ出さなかったが、その世話焼きの娘が舞帆のことだというのは、狩谷も薄々察したようだった。
「こう言っちゃ悪いけどさ。お前のそういうグレたところ見てると、なんか昔の俺に似てるなあって思うんだよ。だから、俺の世話を焼いてくれた娘みたいに、お前のこと、ほっとけなくなっちまうんだ。俺、その娘のファンだからさ」
彼女は、「自分の醜いところを見ているのに、励ますのが変」だと言ったが、それは違う。
その「醜いところ」って
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