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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第23話 無謀な一撃必殺
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乾いた銃声。凍り付いた世界。
そこから続く未来にある惨劇を恐れ、俺は目を閉じた。
悪い夢なら覚めてほしい。できることなら、もう一度狩谷と戦うことになってでも、やり直したい。切実にそう思った時だった。
「――!?」
だが、誰ひとりとして命を落とした者はいなかった。
確かに、発砲音は聞こえたのに。
悲劇を予想して閉じていた瞼を開くと、そこには発砲の瞬間、拳銃をたたき落とす桜田の姿があったのだ。
予想外の展開に、俺も狩谷も目を見張った。
「寛矢……なんのつもりだ!」
予想だにしなかった息子の反逆に、校長は激昂する。
しかし、桜田には微塵の気後れもない。
逆に、父親を越える体躯を活かし、最大限の力で悪事をさせじと威圧する。
「――『ヒーロー』として、当然の行いですよ、父さん」
「何だと!?」
「僕は今まで、父さんの教えを信じて、ヒーローとはこうあるべきだという思いで、学業を積み重ねてきました。でもそれは、僕の望んだヒーローなんかじゃない! 不当に他人を蹴落として掴んでいたライセンスを振りかざして、船越さんの前で得意になっていた僕が、今はなにより許せないんです!」
「寛矢! 朝香や舞帆に留まらず、お前までもが逆らうというのか!」
「それが、『ラーベマン』ですッ!」
一切の反論を許さない、誠意を以って放たれた一言。
それは自身が理想とする、悪を正す一人の「ヒーロー」として、「ラーベマン」こと桜田寛矢が成すべき「ヒーローとしての活躍」そのものであった。
「お父さん、私もよ。私は、そんなことをする桜田家が優秀だなんて思わない。私は、船越君のような人が、なによりも大切なものを持っているって思うの。それは、お父さんには決してないものだから。――だから私は、船越君を選びます」
次に現れた舞帆も、父の悪事を容赦なく糾弾する。
俺にあって、校長にないもの――それがなにかは、俺にもよくわからなかったが、少なくとも俺を肯定してくれているのは間違いない……と、思う。
そこはありがたく受け取っておこう。
「狩谷……うぐッ!」
校長が桜田姉弟にやり込められているのをしばらく見守っていた俺は、転がり落ちてから少し安静にしていたためか、少しだけ動けるようになっていた。
もちろん傷はまだまだ深いが、今までに比べればまだマシだ。
俺は狩谷の所まで身を引きずり、彼女の傍で膝をついた。
「な、なに?」
「お前……まだ、ヒーローになりたいか?」
もし彼女が、ヒーローになる夢を捨てきれていないなら、俺にもなにかできることがあるかもしれない。
そう思っていた俺は、彼女に最後の確認を取った。
挫折
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