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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第23話 無謀な一撃必殺
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いか、貴様は桜田家がどれほど優れた家系であり、それを引き継いできたのかを知らんだろう。だからそんな腑抜けた口が利けるのだ」
どうやら桜田家ってのは、代々続く優秀さを継いでいかなくちゃいけない、窮屈な家庭らしいな。
彼にとってはそれは絶対であり、そのためには人を殺しかねないほどの不正もアリにしちまう。
――ふざけてんのかよ。
いや、大まじめにそれをやってのけてる辺り、ふざけてるよりよほどタチが悪い。
「この女は私達の邪魔をした挙げ句、あろうことか舞帆を辱めた。どうやらこの女豹は、私が直々に討たねばならんらしい」
そう吐き捨てると共に、校長の懐から――拳銃が現れた。
「……!」
「校長ッ! あんた、マジなのかよ!」
一瞬怯えたように身を強張らせ、すぐに諦めの顔になった狩谷を一瞥し、俺は校長に食ってかかる。
しかし、まったく聞く耳を持つ様子はない。
ちくしょう……! 狩谷を殺して、それで解決なわけがないだろう。俺はバッドエンドってのが大嫌いなんだ!
そんなの、望んでるのはあんただけだろうが。
桜田は、舞帆はどうなるんだよ!
今までの戦いの疲労、痛み、そして狩谷に勝ったことによる束の間の安心からくる脱力感のせいで、俺は動くどころか、叫ぶことすら思うようにいかなくなっていた。
校長は狙いを狩谷の眉間に定め、引き金に指を掛ける。
狩谷は抵抗もせず、ありのままの結果を受け入れようとしていた。
「か、狩谷!」
「……アンタ、船越大路郎って言うんだっけ? 覚えとくよ。アンタの名前」
「はぁ!? 今の状況わかってんのかよ! 俺のことなんてどうだっていいだろ!」
俺に構わず、早く逃げろ。
本当はそう言いたかったが、俺にそんな資格はなかった。
彼女を逃げられなくしてしまったのは、俺だからだ。
こんなことになるなら、狩谷が逃げる体力を残せるくらいまでセイサイラーのスピードを落としておくんだったと、今頃になって俺は後悔する。
どうすればいいかわからず、右往左往していた俺に向かって、彼女はフッと笑う。
嗜虐的でない狩谷の笑顔を見たのは、それが初めてだった。
「もっかいヒーローになれ――アタシの醜いところばっかり見たくせに、そんなこと言う奴がいるなんて、考えたこともなかったわよ。ありがとね……夢、見させてくれて」
「なに言ってんだ、そんな遺言染みたこと聞きたくないぞ!」
「……まったく。……どうせ殺されるんなら、アンタの手で――」
カチャリ。
そこで、校長の指が引き金を引こうと動き始めた。
「お喋りは終わりだ、庶民ども」
ハッとする暇もなく、冷たい一言と共に、拳銃が火を噴いた。
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