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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第23話 無謀な一撃必殺
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一緒に空中に投げ出されている景色が見えていること。

 ……つまり、まだ俺は生きている。

 生裁重装の重厚な鎧は、表面から内側まで、あらゆる箇所がひび割れ、今にも崩れ落ちそうなほどの損害が現れていた。

 元々舞帆が変身していた時にコテンパンにされていたこともあるだろうが、今の激突で原形を保っていられるのは奇跡としか言いようがない。

 今度この状態で狩谷と対峙すれば、間違いなくこの巨大なプロテクターは粉々に破壊されてしまうだろう。

「船越君ッ! 死なないで、お願いだから!」

 滞空している俺を見上げ、舞帆が涙ながらに叫び散らす。

 ――大丈夫だ、舞帆。これ以上、不安になんかさせない!
 次の一撃で決めて見せるから!

 俺は再びバックルに手を伸ばし、校章を反転する。
 空中で生裁軽装に変身すると同時に、俺は生裁重装の鎧から変形したセイサイラーに乗り込んだ。

 そして着地する瞬間にアクセルを踏み込み、一気にスピードを爆発させる。

「おおおおおおッ!」

 雄叫びだけで自身を鼓舞し、俺は狩谷目掛けて突っ込んでいく。

「……ナメるなぁ! アタシは――アタシは、ヒーローになるんだああああああッ!」

 狩谷も必死に残された刃をぎらつかせ、俺を迎え撃たんとする。

 正直言って、もう体はほとんど動かない、さすがにそろそろ限界を超えすぎたらしい。

 だから、これが最後の攻撃になる。失敗すれば、俺の命もないだろう。

 だが、できないとは思わない。
 舞帆やみんなが、俺を信じて頼ってくれるなら。俺に、そこまでの価値があるとするならば!

「俺がヒーローだってんなら! ……負けっこないだろうがあああああああああッ!」

 俺は腕に残る力を振り絞り、忍ばせていたセイトバスターを撃つ。
 その一発が、狩谷の最後の得物を破壊した。

「あ――!」

 ――もう、力は微塵も残っていない。

 後は、野となれ山となれ、だ。

 そのヒーローらしからぬ不意打ちに狩谷が呆気に取られた瞬間、俺を乗せたセイサイラーが狩谷と激突し、砕け散った。

「ぐわああああッ!」

「きゃああああッ!」

 俺は衝突の勢いで吹っ飛んで瓦礫の山に頭から突っ込み、狩谷は撥ねられた衝撃で校舎に背中を打ち付け、動かなくなった。

 まさに、一瞬の決着。俺にとっても、きっと彼女にとっても。

 ――俺は、ヒーローに必要なのは、例え無謀だとしても、卑怯者と泥を被ってでも、大切な誰かを守れる、ヒーローとしての「資質」だと思ってる。

 だから、こんな無茶苦茶でヒーローの夢を壊すような戦い方を選んだのかもしれない。

 そんな自覚はあっても、不思議と後悔の念はまったくなかった。

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