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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第17話 立ち上がるヒーロー
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は完成させてすぐに設計図を処分してるから、基地を制圧した寛毅も知らないはずよ」
土壇場でスゴい話を持ち込んできたな。俺はそれを開き、流し読みしてみた。
……こんなシステム、何で俺にも教えなかったんだよ、オイ。
「これはそのアドバンテージと引き換えに、フィジカル面で深刻なリスクを背負うのよ。だから、万一今の事態になっても寛毅が舞帆に使わせることがないように設計図を処分したし、あなたに死なれたらあのお母さんに申し訳が立たないから、あなたにも教えなかった」
どうやらこのグラマーな二児の母は、人の心を読むプロらしい。エスパーかこの人は……。
俺にこのシステムを教えなかったのは悪く言えば、システムを託せるほど信用していなかったってわけなんだな。
「あなたの思ってることはほぼ当たりでしょうね。だからこれを託したってことは、私があなたを一人の男として完全に信頼した証と取ってもいいわ」
「……もしかして本当にエスパーさんだったり?」
「考えてることがやたらと顔に出てるだけよ」
マジかよそれ。
エロ本に手ェ出したら俺ってどんな顔になっちまうんだろ。
そんな俺の悩みを完全放置した上で、達城は息子を応援する母のように、威勢のいい声で俺の背中を押す。
「さて、セイントカイダー出動! ってとこね。学園の平和、キッチリその手で守って見せなさい」
達城にとって、セイントカイダーはあくまでも舞帆ではなく俺らしい。
その言葉を背に、俺は信頼の証として賜ったメモ帳を手に病室を後にした。
病院から出たところでは、ピザ配達に使われるような屋根付きバイクに跨がる平中が既に待機していた。
俺は大急ぎで彼女の後ろの席に飛び乗り、落っこちないよう彼女にしがみつく。
心なしか、彼女の頬が赤らんでるように見えた。
「悪い、遅れた! 宋響学園まで頼むぞ!」
「任せてください! 船越さんの役に立つ、千載一遇のチャンスですからっ!」
嬉しいことを言ってくれながら、平中はアクセル全開でバイクをぶっ飛ばす。
これの形状からは想像もつかないスピードだ。
――とにかく、これで宋響学園まで辿り着ける。
舞帆、少しでもいい、無事でいてくれ……!
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