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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第17話 立ち上がるヒーロー
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、こうしてる間に舞帆が苦しんでるんじゃないかって思うと、俺はそっちの方が耐えられないよ」

 俺は「大丈夫」という意味を込めて母さんの肩をポンと叩き、ひかり、そして瑳歩郎へと視線を移した。

「ひかり――ありがとう。それと、もう心配しなくてもいい。ひかりのおかげで、元気が出てきたから」

「うん……あのね、こんなこと言っても水を差すだけかもしれないけど、無理だけはしないでね。強くなんかなくたって、私も瑳歩郎も、その――セイントカイダーが、大好きだから!」

 紅潮した顔で言い放たれたその一言に、俺は心臓を雷で撃ち抜かれたように、ドキリと心身を震わせた。

 血流が全身を目まぐるしく駆け巡り、俺の体温を際限なく上昇させる。

 ――ダメだ、ひかり。俺みたいな勘違い野郎に、そんな思わせぶりなこと言ったら。

 それと、後ろで達城が「何人落とす気なのやら」とか言ってるが、何の話だ?

「たぁ、だぁ!」

 すると、今度は瑳歩郎が俺の足に抱き着いてきた。
 俺にもこんな純真な時代があったのかと思うと、情けなさ過ぎて涙が出てくる。

「瑳歩郎……だよな。俺みたいなダメな奴じゃあ大人ぶっても大したことは教えられそうにないが――これは言っとくぞ」

 しゃがみ込んで彼と目線を合わせ、俺は母さんが俺にしたように、瑳歩郎を抱きしめる。

「君だけは――君だけは、戦わなくたっていいぐらい、たらふく幸せになってくれ。君の親父の代わりに、それだけは言っておきたいんだ」

 まだ小さいんだから、意味なんて到底わからないだろうが、それでも別に構わなかった。

 どうあいつを悪く言っても、この子の父親には違いない。
 だから、父としての自覚などないあいつに代わって、俺はこの子の幸せを願う。

「待ってろよ。セイントカイダーは強いんだ。絶対に負けないんだからな!」

「きゃっ、きゃっ!」

 俺は言葉もろくに通じない子供に、高らかに勝利を宣言した。

 瑳歩郎も、なんとなく意味を子供心に察したらしく、嬉しそうに笑う。
 ひかりもにこやかに笑ってくれていた。

「さて、挨拶は済んだかしら?」

「ああ。行ってくる」

 俺は瑳歩郎と別れると、達城に出動の意志を目で伝える。
 笠野は開きっぱなしの病室のドアにもたれたまま、何も言わず強く頷き、激励のウインクを送ってきた。

 してきたことはともかく、応援してくれる気持ちはありがたく受け取っておこう。

「ちょっと待って、これを持って行きなさい」

「ん?」

 達城は何かのメモ帳を取り出し、俺の胸にグイッと押し付けた。

「これは?」

「あなたの覚悟を見込んで記した、セイントカイダーの真のポテンシャルを発揮するシステム。これだけ
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