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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第13話 更生の始まり
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。理性の名残か、その力は彼女に痛みを与えるほどには至らなかった。

「戦って欲しくないんだろ!? 自分が腹痛めて産んだ娘に、危険な戦いをして欲しくない、だからあんたは舞帆をセイントカイダーにしたくなかったんだろうが!」

「私だって!」

 すると、それまで防戦一方だった達城が突如反撃に出た。
 その目尻に、痛々しく涙を浮かべて。

「私だって、舞帆には戦ってほしくなんかない! だけど、あの娘の代わりにセイントカイダーになれる人間は……いないのよ」

 だが、徐々に声に覇気が失われていき、やがて絶望を思わせる声色になっていく。

「なれる人間がいないって……なんだよそれ」

 その姿に怒気を削がれた俺は、俯く達城の顔を覗き込み、表情を伺う。

「……セイントカイダーの部品も設計図も、初めから舞帆の身体に合わせて造られたの。だから、彼女以外は絶対に使いこなせない。どの道、あの娘が纏うしかないのよ」

「絶対に使いこなせない、か」

 そこで俺は一つの考えを、今ここで纏める。

「なあ、もし舞帆以外の奴がセイントカイダーに変身しようとしたら……どうなるんだ?」

「どうなるって――全身を鎧に締め付けられて、大の大人でも失神する激痛が走るわよ」

「きっついな、それ」

 ニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる俺に、達城は険しい顔になる。

「あなた……まさか、舞帆のセイントカイダーになる役を肩代わりするつもり!? 私の話を聞いてなかったの!?」

「聞いてたさ。その上で、そう言ってる。リスクは今あんたが言った通りなんだろうな。だが、やらないわけにはいかない」

 まるで信じられないようなものを見る目で、達城は猛烈に反対する。

「なんであなたがそんなこと……無理よ、不可能だわ! 敵は息子より強くなってくるかも知れないのに、激痛のリスクまで背負って戦うことなんて!」

「あんたが願う娘の幸せってのは、こういう展開のことを言うんだろ。もし事情を知って支えてくれる人になって欲しいってのが、あんたの本当の願いだとしたら――今世紀最大の人選ミスだな。俺がそんな事情聞いといて、黙ってるわけないんだから」

 ひかりのことでやさぐれて、弌郎とも争って、どうしていいかわからなくなっていた俺を、尻を叩いてでも助けてくれた舞帆。

 あいつが危険な綱を渡ろうってんなら、俺が安全な道に作り替えてやる。
 それが、助けてくれた筋ってもんだろうが。

 品性のカケラもないイレギュラーの登場に、達城はただ言葉を失うのみだった。

 △

 それから、俺はヒーローライセンスを取得するための猛勉強に取り組み、二年の終わりにFランクのライセンスを取得した。

 セイントカイダーの変身システム――すなわ
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