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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第8話 翼のヒーロー
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畏縮させる。そんな中、一人涼しい顔をして悠然と構えているラーベマン目掛けて、一直線に突進を仕掛けた。
「来たぞ!」
「ちょっと我慢してください!」
「なに――ごはッ!?」
あろうことか、舞帆の弟は俺の背に刺さっていた破片を抜き取ると、槍のように投げ付けた。
「てぇッ!」
矢のごとく空を切って飛ぶ破片だったが、バッファルダの角はそれをさえものとしない。
乾いた金属音が響くと、弾かれた破片は宙を舞った。
「ハン! ざまァねェな、さっさとくたば――」
言い終えないうちに、勝利を盲信していた巨漢は徐々にスピードを落とし、やがて両目を覆って動きを停止した。
そこから流れていたもの――赤い筋。血だった。
「船越さんに、協力してもらったんですよ」
澄み切った声で、俺が一体何を仕掛けたのかを問う前にラーベマンが口を開いた。
「あなたの血。目潰しにね」
彼が投げた破片には、俺に刺さっていただけあってかなりの血が滴っていた。
角に弾かれた瞬間、空中に飛び散ったそれはバッファルダの目にも降り懸かっていたわけだ。
「ぐっ、おおお! こ、このハト野郎が!」
顔を覆い、膝をつく闘牛。勢いを失い、まさしく牙を抜かれた状況だ。
「戦いにおいて、目が見えないことほど不便なものはない。既に決定的ではあるけど――ヒーローはやっぱり必殺技で締めないとね」
視力を封じられ、身動きが取れず錯乱しだしたバッファルダとは対極の落ち着きで、ラーベマンはマントを広げた。
今まさに巣立とうとしている鳥のように。
「――ハアッ!」
ここが屋内だからか、大きいモーションから動き出した割には随分な低空飛行だ。
床との距離はほんの十数センチ。それだけに、ラーベマンが飛んでいる辺りにはかなりの量で埃が舞い上がっている。
大きく弧を描くような動きで、僅かな高さで空を飛ぶと、人型の鷹は瞬く間に視界を奪われた猛牛の背後を取った。
その場で羽交い締めにしたかと思うと、今度は天井への激突を顧みない勢いで、急上昇を始めた。
「寛矢、危ない!」
舞帆の制止が言葉となって発せられるより速く、ラーベマンは天井を突き破り、快晴の青空へ旅立って行った。
「ほぅら、空中旅行をご堪能あれ!」
遥か空高く、そこらのビルより高い世界へ、バッファルダの巨体が解き放たれた。
「う、お、あああああああああああ!」
凄まじい断末魔が、下にいる俺達にまで響いて来る。
その叫びが耳をつんざく余り、声の主がこの飲食店の外に墜落した轟音も、ほとんど聞こえてこなかった。
……なんつー、えげつない必殺技だ。
助けてもらっといてこう言うのも忍びないが
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