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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第8話 翼のヒーロー
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覚だ。それは分かってる。

 だが、分かってるからこそ、それが現実になるかも知れないと思うと震えが止まらなかった。

 これはただの錯覚。そう、ただの錯覚で終わらせるんだ。
 そのためにも、俺は絶対――

「まー、とりあえず死ねや」

 頭上から冷たく言い放たれた一言と共に、俺の背中が冷たくなる。

 背中から全身に伝わる異物感。
 それが、天井の破片が突き刺さったものだと気付くのには、そう時間は掛からなかった。

「……お、が、あああああッ!」

 自分の体が刺された部分を中心に、冷たくなっていく。
 常軌を逸した痛みに叫びながらも、俺はどうすることもできずにいた。

「さァ、次は脚でも折るか」

 標本にされた蝶のように身動きが取れない俺の右足を両手で掴むと、妙な方向に捩りはじめた。
 本来の人間の関節ではありえない向きに、じわじわと。

「あ、う、ああ!」

 徐々に脚が捩曲げられ、それに抵抗できない現状に、俺は跳ね退け難い恐怖を覚えた。

「ほれほれ、もっと鳴けよ。こうすりゃア、もっと――」

 全身で悲鳴を上げて痛みを訴える俺とは対照的に、バッファルダはまるでゲームに熱中しているかのように、俺への嗜虐にのめり込んでいる。

 そろそろへし折ってしまおうと思ったのか、俺の脚を握る力が強くなったのを感じた。そして、

 バキッ。

 そんな音が聞こえた。

「ぐはあッ!」

 そして、短く叫び、バッファルダは頭を床に打ち付けながら激しく転倒する。

「なッ――!?」

 脚を折られると思っていた俺は、一瞬の出来事に目をしばたかせる。

 眼前に映るのは、赤いボディスーツで身を固め、翼のように端がギザギザに割れたマントを纏う一人の男。

 俺より身長が高く、それでいて華奢なそいつの姿に、俺は見覚えがあった。

「ラーベマン――!?」

「ひ、寛矢!?」

 すると、それまで涙でくしゃくしゃになった顔で戦況を見守っていた舞帆が、急に声を上げた。

 なんで舞帆がこいつを知って――いや、待てよ。

 随分前のことだか確かに聞いた。舞帆の弟がヒーローライセンスを取っていると。

「お前が舞帆の弟……!?」

「ええ、あなたが船越さんですね。母から聞いています」

「母……ね」

「後は僕に任せて」

 寛矢と呼ばれていたその男、ラーベマンはマントを鮮やかに翻し、バッファルダと対峙する。

「調子くれやがって……何が『僕に任せて』だ! てめェのパンチじゃ軽すぎて蚊が刺した程度ですらねーぞ!」

「……さァて、この脳筋はどう黙らせたものか」

「スカしてんじゃねェ!」

 怒声が店内に激しく響き渡り、周囲の一般客を
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