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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第5話 学園に迫る脅威
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からない異常な生物を前にして、恐れもしないわけがない。
しかも、あの巨漢越しにはズタボロに打ちのめされた柔道部員達の姿が見える。
命こそ取られてはいないようだが、立ち上がることもできないくらいに痛め付けられてるらしい。
「セイント……カイダー!」
巨漢は俺を見付けると、コンクリート壁の破片を掴み、いきなり投げ付けてきた。
「くっ!」
「きゃあ!」
俺はとっさに舞帆の肩を掴んで無理矢理しゃがませた。
そのせいで俺の方が避けるのが遅れてしまい、額をコンクリートの中にある鉄筋が掠めて行った。
肉が切れ、赤い筋が額から顎まで伸びていく。
「船越君ッ!」
舞帆が泣きそうな顔で俺を見上げる。
心配させまいと笑いかけようと思ったが、残念ながらそんな余裕もない。
「舞帆、あそこで倒れてる柔道部員達を頼む!」
「えぇ!? ふ、船越君はどうするのよッ!?」
「助けを呼びに行くだけだ! 心配すんな!」
さっき投げられたコンクリートの破片は、後ろの壁にぶつかって更に細かく砕けていた。
俺はその一つをわしづかみにして、あのデカブツに投げ付けてやる。
当然効くわけがないのだが、注意は間違いなく俺に向かった。
俺に向かって「セイントカイダー」と呼ぶ辺り、元々の狙いも俺なんだろうが。
とにかく、今はこいつを舞帆から引き離すのが先決だ。
俺は巨漢を挑発するようなことを叫び散らしながら、校舎の裏手へ向かう。
当の巨漢も、舞帆には目もくれず俺を追った。
「達城! 聞こえてんのか、達城!」
一番人通りの少ない校舎裏へ誘い込むと、俺は携帯で達城に連絡を入れる。
隠れた角から覗き込んでみると、奴はまだ俺を捜しているらしい。辺りを見渡しながらウロチョロしてやがる。
『聞こえてるわよ。状況はこっちのコンピュータで把握してる』
「説明が省けて助かるぜ! あいつがあんたの言ってた、宋響学園を狙う刺客って奴か!?」
『そう。名は
所沢克巳
(
ところざわかつみ
)
……バッファルダと呼ばれる男よ。もう一人はいないみたいだけど……』
俺がセクレマンになる前から聞かされていた、宋響学園を狙う刺客の存在。
こいつと戦うために、俺はヒーローになったんだ。
「今こそって奴だな。達城、セイサイラーを出せ! 変身するッ!」
すると、バッファルダとかいうデカブツは、俺が違う場所に逃げたと踏んだのか、運動場に向かって進み出した。
「……マズイ!」
『運動場に行くつもりね。あんなとこに入られたら大混乱になるわよ!』
「当たり前だろうが! さっさと出せっつーの!」
『急かすんじゃないわよ、待ってなさい!』
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