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落ちこぼれの成り上がり 〜劣等生の俺は、学園最強のスーパーヒーロー〜
本編 生裁戦士セイントカイダー
第2話 船越大路郎と桜田舞帆
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俺は
船越大路郎
(
ふなこしだいじろう
)
、十八歳。
絵に描いたような、平凡な高校生そのものである……と自称したいところだが、ちょっとそれは難しいかもしれない。
純粋な日本人として、ごくありふれた黒髪でありながら、その端々に赤みが掛かり、さながらメッシュのようになっている俺の頭は、平凡とは言い難いだろう。
そんなことを口にしたら、本当にごく普通な全国の高校生の方々に多大なご迷惑が掛かってしまう。
言うまでもないが、念のために言っておく。これは地毛ではない。
あと、自分の容姿だけ説明したら札付きのヤンキーかと思われてしまうだろうから、これも言っておく。
俺は心優しい純朴な若者です。
お願いだから信じて。
そんな俺は、今まさに学校に遅刻しようとしている。
別にケンカとかしてて遅れたわけじゃない。
純粋に寝坊しただけだ。
ここから俺の通う
私立宋響学園
(
しりつそうきょうがくえん
)
まではまだ距離がある。
学園へ行く通学路は、住宅街の周りに弧を描くように伸びている。
それはつまり、住宅街を突っ切れば近道ができるということだ。
担任に大目玉を喰らうことなく、爽やかに午前を過ごすためにも、俺は住宅街へ繋がる曲がり角へ突撃し、
「おわッ!?」
「きゃあッ!」
漫画とかでありがちな、美少女との衝突という、甘酸っぱい青春ラブストーリーの幕開けを思わせる美味しいイベントに直面した――つもりだったんだが。
「いったたた……って、船越君じゃないッ!」
あぁ、出やがった。
おいでなすりやがった。
今だけは、この娘にだけは会いたくなかったのに。
「や、ややや、やぁ舞帆さん、朗らか朝ですね……」
テンパる余り裏返る俺の声に、ぶつかってきた艶やかなポニーテールが特徴の清廉潔白委員長タイプ的美少女・
桜田舞帆
(
さくらだまいほ
)
は全てを悟ったように眉をひそめた。
「……住宅街に住んでないはずのあなたがぶつかってきたってことは、近道しようとしてたってことね」
「べ、別にいいじゃんよ! 遅刻には代えられない!」
「前に学園の生徒が、住宅街で他校の生徒と乱闘を起こして子供に怪我させて以来、宋響学園の生徒は住宅街に住んでいる生徒を除いて立ち入ってはならない決まりになったのは知ってるでしょう?」
「俺は別にケンカするためにここに行こうとしたわけじゃねーよ……」
「そう言って自分の都合のために行動する人がいたせいで、宋響学園全体に迷惑が掛かるのよ。自重しなさい!」
凛々しい瞳で俺を射抜く。
言い訳の一切を許さない、苛烈なまでの正義感が彼女の特徴と言えよう。
結局、俺は舞帆に引きずられる形で本来の通学路を走ることを余儀なくされ、
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