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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十八話 光明
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が出た。アラルコン少将個人の独断ではないと言う事だ。第三艦隊ではフェザーンが摩り替えたと言っているがフェザーンは否定している。

ボロディン本部長はこの一件に激怒している。真相が不明な事もあるが、第三艦隊が報告を遅らせた事を重視したのだ。揉み消そうとしたのではないか、そう疑っている。ボロディン本部長はオリベイラ弁務官にも不満を持っているようだ。知っているのに何故政府に報告しなかったのか、第三艦隊と協力して真相を揉み消そうとしたのではないか……。

第三艦隊はハイネセンに戻す事になった。代わりにフェザーンに駐留するのはアル・サレム中将率いる第九艦隊だ。ボロディン本部長は捕虜交換が終了した後は、ルフェーブル中将を更迭するつもりのようだ。

ボロディン本部長は後任には戻ってきたクブルスリー中将、ホーウッド中将、アップルトン中将の誰かを当てようと考えている。本部長はクブルスリー中将を買っているようだ。本来なら自分に代わって統合作戦本部長になるべき人材だと言っていた。いずれ人事案が統合作戦本部から国防委員会に提出されるだろう。国防委員会も拒否は出来ない、トリューニヒトもボロディンを支持しているのだ。


『レベロ、何か分かったか』
「財政委員会にはそれらしい資料は無かった。まあもう少し探してみるが、なんと言っても百年以上も前の事だ。おまけにヴァレンシュタイン元帥の推論が正しければ全てが闇に葬られている。難しいだろうな」

私の言葉にトリューニヒトが顔を顰めた。
『有るとすれば財政委員会だと思ったのだがな、やはり無いか』
そうがっかりするな、トリューニヒト。

「文書の類は無いかもしれん。むしろ人で追うべきではないかな」
『人?』
訝しげに問いかけるトリューニヒトに私は頷いた。

「トリューニヒト、レオポルド・ラープ達はどうやって同盟で資金を得たのかな? 彼らは同盟人ではない、大きな取引をするとなれば当然だが相手は身元を確認するだろう。となればラープ達には大きな取引は難しかったはずだ」
『……取引は同盟人が行ったと言う事か……』
トリューニヒトが確かめるように私の顔を見た。

「おそらく。身元証明をする個人IDを偽造するという手もある。まあ政府が行なうとすれば偽造とはいえないが架空の人物を創る事になるだろう。しかし大きな取引を行なえば当然注目を集める、ラープ達はそれを望まなかったはずだ」
『なるほど、道理だ。それで人で追うというのは?』
少しは元気が出たか……。

「当時の政府は取引する人間も紹介したはずだ。その取引をした人間を特定する。そしてその人物を調べる。そこから何か見えてくるかもしれん」
『……特定か、できるかな』

「分からない、しかし他には思いつかないんだ。取引をしたのは一人ではないだろう。大きな
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