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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十八話 光明
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おそらくイゼルローン要塞で調整する事になるだろう。今その件でレムシャイド伯が同盟側に問い合わせをしている。感触は悪くないらしい、となれば来月早々にもイゼルローン要塞に彼らを送る必要がある。
送っていく以上警護が必要だが、これが問題になっている。俺は当初五百隻程の小規模の艦隊でいいと思っていた。ところが宇宙艦隊の司令官達から異論が出ている。警護は宇宙艦隊の正規艦隊が行うべきだと言うのだ。
理由としては俺が行くまでのイゼルローン方面での警護、そして帰り道の警護をすると言うのだ。俺も自分の艦隊を率いて行く、警護など大袈裟にする必要は無い、そう言ったのだが皆承知しない。
軍務省では艦隊司令官達の意見を歓迎している。彼らの考えでは向こうとの交渉が行き詰ったとき、難しい判断が必要とされるときは艦隊司令官に判断を頼むというのだ。何の事は無い、責任の押し付けだ。捕虜交換は失敗できない、後々文句を言われたくない、そういうことだろう。
俺はそのあたりをそれとなく艦隊司令官達に伝えた。貧乏くじを引く事になると言ったのだがそれでも皆行くという。どうやら警護は建前で本音はヤン・ウェンリーに会いたいらしい。ヤンにはティアマト、イゼルローン、シャンタウでしてやられている。どんな人物か興味があるのだろう。
気持は分からないでもない、俺自身ヤンに会うのが楽しみなのだ。しかし連中は国内警備の任務から帰って来たばかりだ。少しは休めよ、部下だって家族団欒が恋しいだろうとは思わないのかね。
誰に頼むかだな……。穏やかで人あたりが良く調整能力のある人間が良い。となるとメックリンガー、クレメンツ、ケスラー、ルッツ、ワーレン、ミュラー……、そんなところか……。年長で落ち着いた人間が良いな、となるとメックリンガー、クレメンツ、ケスラーだ。
メックリンガーにするか……。当然だが同盟ではメックリンガーの事は調べるだろう。メックリンガーが芸術家と分かれば、同盟軍は好感を持ってくれるかもしれない。それにメックリンガーはティアマトでは総司令官代理として直接ヤンと戦っている。ヤンの性格からして悪い感情は持たないだろう。後で皆を呼んでメックリンガーに決めたと伝えるか……。
宇宙暦 797年 10月 25日 ハイネセン 最高評議会ビル ジョアン・レベロ
通信スクリーンにトリューニヒトの顔が映っている。表情は明るいとはいえない。無理も無い、地球教の事はまだ調査が始まったばかりで何も分からない。である以上地球教にどう対処するかも決められないのだ。どの程度連中は危険なのか……。信教の自由を同盟が保障している以上、簡単には決められない……。
おまけにもう一つとんでもない事が分かった。例の紛争事件だが訓練地を帝国側の宙域に選んだのが第三艦隊だという疑い
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