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SAO−銀ノ月−
第百二十一話
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一つ目がテッチから視線を逸らすことはなかった。

「そこだ!」

 しかし剛腕が弾かれたことによって、ダイダラボッチに隙は出来た。その隙を見逃さずに背後に接近すると、抜刀術による一閃がダイダラボッチを――ではなく、大きいつづらを斬り裂いた。

 そしてダイダラボッチは苦悶の声をあげながら、こちらの斬撃やテッチのシールドバッシュも受け付けなかった不定形の身体が、一瞬にしてバラバラになっていく。その様子はまるで、今まで受けていたダメージが一度に襲いかかってきたようで、そのダメージに耐えられずにダイダラボッチはポリゴン片と化した。

「大きいつづらが本体……ってことだったんですかねぇ」

「多分」

 詳しい理屈は分からないが、大きいつづらを破壊した瞬間に、ダイダラボッチもともに破壊されていく。テッチとともに武器をしまいながら、ポリゴン片となって消えていく大きいつづらを最後まで眺めていて。

「ところでどうですか、手に入れた楽器は」

「……あ゛っ」

「……ショウキさん?」

 テッチから言われてポケットから取り出したオカリナは、相変わらず古びた品物だったものの、入手してからさらに傷ついていた。具体的には、クナイが満載に入ったポケットに、戦闘中に無理やり放り込んだせいであるが。

「ああ……傷だらけのオカリナだ」

「最近出来た感じの傷ですが、まあそれはともかく。ショウキさん、吹けます?」

「…………」

 テッチからの質問に黙って首を振る。ここで隠された趣味や特技として、楽器が弾けるなどと発覚するのはキリトだけで充分だ――いや、実際にキリトが音楽が出来るかはともかくとして。少なくとも自分にはそういう特技はないため、諦めてテッチに渡す。

「いや、私もちょっと……」

 などと言いつつも、テッチはとりあえず古びたオカリナを自らの口元に持ってくると、微妙に外していなくもない音程で吹いてみせた。ただ音を出しただけと言えなくもないが、どうやらそれがトリガーとなっていたらしく、地割れとともに行き止まりだった通路が転移門となっていく。

「ナイスな演奏だったみたいだ」

「傷ついた楽器でも弾けるものですねぇ」

 ……などと言いながら、洞窟に現れた鳥居の形をした転移門に入っていくと、相変わらずの不快感がこちらに襲いかかってきた。かの浮遊城時代からどうにも慣れない感覚に顔をしかめていると、眼下には全く違う景色が広がってきた。

「あ、テッチとショウキ。おそーい」

「ノリ。僕たちだって来たばかりじゃないか、今」

 じめじめとした地下室を抜けたそこは、神社の内部らしい明かりがついた和室。なかなかの広さを誇っていて、先にたどり着いていたらしいスリーピング・ナイツのメンバーが話しかけてきた
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