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艦隊これくしょん 災厄に魅入られし少女
プロローグ3 絶望に染まる艦娘
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られた。それでも、榛名はここで挫けるわけにはいかなかった。
なぜなら『護らなければならない娘』がいるからだ。

「………榛名さん」

榛名のそばに立っていた艦娘が怯えた声でそう言ってきた。黒いセーラー服のような服装に白色の長いマフラー、獣の耳のようにはね、髪先が赤く染まった金髪に赤い瞳の少女は、白露型駆逐艦の四番艦『夕立改二』だ。彼女はこの鎮守府に配備されてから榛名がずっと面倒を見てきた。しかしこの夕立は他の鎮守府の夕立に比べ少し気弱なところがあり、なかなか戦果を挙げることができずにいた。その度に前任者からの暴力を受け、懲罰房に入れられていた。ただ夜伽の相手にはまだされていないので、それだけは不幸中の幸いだろう。とはいえ夕立は改二となってからほかの駆逐艦の艦娘と比べかなりスタイルが良いので、いつ夜伽の相手をさせられるかわからない。そのことなどで夕立はすっかり怯えきってしまっていた。
榛名は夕立の手を優しく握った。

「………大丈夫です夕立ちゃん。あなたは絶対に榛名が護ってみせます」

榛名が夕立に安心させるように言った。その直後大広間の扉が開き、白い軍服に身を包んだ小太りの男、大車健二郎提督が入ってきた。その後ろには、榛名の姉である金剛型高速戦艦の一番艦『金剛』と、補佐である軽巡洋艦の『大淀』がついてきていた。
大車提督は大広間に入ってくると、少し高くなっている中央の机の前に立って榛名達を見回す。しかし、その眼は榛名達を見下すような冷たい眼だ。
しばらくして、大車提督が口を開いた。

「………ただいまより、南方海域に集まっている深海棲艦共に奇襲作戦をかける」

大車提督の言葉を聞いた瞬間、艦娘達がざわついた。そのような作戦は一度も聞かされていないからだ。
すると、大広間に大車提督の怒声が響き渡った。

「黙らんかぁ!!!」
「「「「!!」」」」

大車提督の怒声に、艦娘達がビクリと身体を震わせる。
大車提督は艦娘達が黙ったことを確認すると、再び口を開いた。

「………事前に偽の情報を流し、それに深海棲艦共が食らいついて集結していることを確認した。その中に『災厄』がいることも確認済みだ」

大車提督の言葉に、艦娘全員の表情が凍りついた。深海棲艦の中に一体だけ艦娘や提督から『災厄』と呼ばれている存在がいる。
その深海棲艦の名は『防空棲姫』。駆逐艦でありながら装甲や火力、雷撃が戦艦をも超えるという、深海棲艦の中でも規格外の存在だ。またその名の通り、どれだけ艦載機を発艦させて制空権を取ろうとしても、全て撃ち落とされてしまうほど対空性能が桁外れだった
そのため戦場に防空棲姫がいるというだけで、戦況は艦娘達が圧倒的不利になってしまうのだ。現に榛名達も数回戦闘を行っ
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