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提督はBarにいる。
独逸空母の憂鬱
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権限で無理にでも付けさせる事は可能なんですけどねぇ。」

 おかしな人です、と二人はクスクス笑い合っている。

「ケッコンカッコカリ、なんてふざけた名前は大本営が半ば悪ふざけで名付けた名前なのに、あの人はそれに誠意を持って対応してくれていますよ。」

「私達が肌を重ねる事を求めれば拒む事はしませんし、ケッコンカッコカリをした艦娘全員に分け隔てなく愛情を注いでくれています。」

 こうして実体験している者に話を聞くと、私の抱いていた反抗的なイメージがぼやけてくる。

「勿論、ケッコンした艦娘でなくとも提督は分け隔てなく接しています。その中でもケッコンした艦娘は特別な扱いをされている、といった感じです。」

「その最たる例があのお店なんです♪」

 アカギが嬉しそうに語っている。

「提督は……あの人は艦娘を兵器として扱うような人では無いですよ?一人の女性として、軍人として、何より一人の人間として。艦娘をそうやって扱ってくれる人です♪」

 私も日本に来る前にはドイツで日本式の艦娘運用について学んだ。その中にはただの兵器や道具としてしか艦娘を見ていないような非人道的な運用法もされている鎮守府もあると聞いた。だがどうだろう、この鎮守府にはそのような扱いをされているような様子はない。むしろ、明るくのびのびと生活しているようにさえ見える。この顔を、いい加減に仕事をこなす軽薄な男が作り出せるだろうか。……いや、答えは聞くまでもない。

「すまんな、アカギにカガ。私はこのあと予定があるので先に失礼するよ。」

 浴槽から上がり、バスタオルで体の水気を拭き取る。汗まみれだった制服は入浴の間に取り替えられている。その真新しい香りに包まれながら、私は少し足取り軽くアトミラールの店に向かう。入り口前には既にビスマルク、レーベ、マックス、プリンツ、そしてユー……今は名前が(容姿も)変わってロー、だったか。5人を待たせてしまっていた。

『もう、遅いわよ?』

『済まない、浴場でアカギとカガと話し込んでしまっていてな。』

『まぁいいわ、行くわよ!』

 そう言ってビスマルクが『Bar Admiral』のドアをノックしたーー……
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