独逸空母の憂鬱
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はなかったからな。しかし半年もすると、この全身が蒸気ではなく温かいお湯に包まれる感覚が病みつきになってしまっているから不思議だ。
「……そういえば、グラーフさんはもうすぐ改装だとか。」
「あ、あぁ。実はそうなんだ。本国から設計図面が届き次第、改装すると通達された。」
本当は私から話を切り出そうと思っていたのだが、カガに先制を許してしまった。
「あら、そうなんですか?それはそれはおめでとうございます。」
アカギからも祝辞を述べられて少し照れ臭い。……しかし、本来の目的を見失ってはならない。
「そっ、そういえば二人は…その……アトミラールと婚姻関係を結んでいると聞いたが?」
二人は驚いたようにきょとんとしている。日本の諺で言うところの…「鳩がマメデッポウを喰らったような顔」だったか?そんな顔をしている。だが、アカギがすぐに笑いだした。
「なっ、何を笑うんだアカギ!実際に二人は指輪をしていたじゃないか!」
「グ、グラーフさん……くくっ、あの指輪は“ケッコンカッコカリ”の指輪と言って、一定の錬度に達した艦娘を更なる高みに昇らせる為の、言わばパワーアップアイテムなんですよ。」
「えっ?」
な、なんだそれは。初耳だぞ!
「そ、その様子だと大淀さんも提督も、伝えていなかったようですね…ぷふっ。」
普段ポーカーフェイスのカガにまで笑われてしまった。恥ずかしすぎるぞこれは。
「あの指輪は、別に左手の薬指に嵌めなくても効力は発揮されるんですよ。けれど、提督からの特別な証として左手の薬指に付ける娘が多いようですけど。」
「そ、そうなのか。」
「えぇまぁ。それに提督の本妻は金剛さんですから。」
コンゴウか。確かに初めてドイツ本国から送られて、この艦隊と合流した際の旗艦は彼女だったな。一番信頼の置ける部下に客賓として私を迎えに行かせたと言う訳か。
「では、アカギとカガにはアトミラールに対しての恋愛感情は無いのか?」
「え、ありますよ?」
「えっ?」
さも当然のように、アカギが答えた。妻がいる男性を好いていると、極めて自然に。
「しっ、しかしアトミラールには妻がいるのだろう?日本は一人の夫に対して一人の妻しか持てないと聞くが……。」
「そうですね、日本の法律では一夫一婦制が基本です。けれど、私達が思いを寄せる事は可能でしょう?」
カガが冷ややかに、だがその言葉に重みがあるように一言一言を噛み締めるように言った。益々解らない。
「提督は私達に指輪を渡す時にはその意思を尋ねられます。“カッコカリと名付けられてはいるが、仮にも夫婦になるんだ。俺はお前達の意思を尊重したい。嫌なら断っても構わない”と。」
「提督の
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