艦娘とスイーツと提督と・10
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…おっと、飲み物はどうする?紅茶にコーヒー、牛乳……合わないとは思うが緑茶もあるぞ?」
「の、飲み物まで付けてくれるのか!?で、ではミルクティー……という奴を飲んでみたい。」
「OK、ちょっと待ってな。今淹れてくるから。」
ミルクティーの準備をしている最中も、初月はそわそわしながら切り分ける前のケーキを指でつついたりしている。余程待ちきれないらしい。
「はいよ、お待たせ。…んじゃ、切り分けるぞ〜。」
ナイフでホールケーキの中央に切り込む。そのまま刃を滑らせ、サクリと底までナイフを入れる。少しずらして同様にナイフを入れ、切り分けてやる。
「さぁ、召し上がれ。」
「い、いただきます……!」
初月がフォークを入れる。そしてその感触に驚いて目を見開いていく。それもそのはず、このケーキは見た目はシンプルなスポンジケーキか何かに見えるが、焼いている内に自然と表面がスポンジ、中層がカスタード、底面がフランというフランスの焼き菓子状の3層構造になるという魔法のようなケーキだったのだから。
「驚いたか?それガトーマジックって言ってな。元は失敗作だったらしいが、食べてみたら美味しいからと売り出したら大流行したケーキなんだよ。」
俺の言葉が耳に入っているのかは解らんが、無我夢中といった様子でケーキを食べている初月。随分と大人びて見えたが、やはりまだ子供らしい。
「ほれほれ、そんな焦って食わなくてもケーキは逃げねぇよ。」
ミルクティーをカップに注いでやると、一気に飲み干してしまった。そこでぷはぁと息を吐き出す。
「姉さん達から聞いてはいたけど、本当に料理が美味いんだな司令官。」
「まぁな。夜は酒と食事の楽しめるBarもやってるからよ、その内顔出してくれや。」
「あぁ、その時は姉さん達と一緒に来るよ。これから宜しくな、司令官。」
そう言って差し出された右手を、ガッチリと握り返す。数日後、店に来た秋月姉妹が3人揃って酔い潰れ&食べ過ぎで医務室に担ぎ込まれたのはまた別の話。
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