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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十七話 亡霊
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有り得ない話ではない、それは分かるが……。
「ダゴン星域の会戦後、同盟は国力の上昇に努めました。一方帝国は深刻な混乱期を迎えます」
「混乱期と言うのは暗赤色の六年間だね」
暗赤色の六年間、陰謀、暗殺、疑獄事件、帝国は崩壊しかかっていたと言われている。あの時帝国が崩壊していれば宇宙は同盟によって再統一されたかもしれない。
「その通りです、議長。その後マクシミリアン・ヨーゼフ帝によって帝国は立て直されますが、彼は外征を行ないませんでした。帝国が外征を行なうのは次のコルネリアス一世になってからです。おそらく地球はこの時期に同盟と独自に接触しようと航路を探索したと言うのがヴァレンシュタイン元帥の考えです」
「航路を探索した、そしてフェザーン回廊を見つけた、そういうことか」
私の問いかけにグリーンヒル総参謀長は頷いた。
「そうです。そして彼らは考えた。フェザーンに中立の通商国家を造り富を集める。その一方で同盟と帝国を相争わせ共倒れさせる。その後はフェザーンの富を利用して地球の復権を遂げると」
話としては面白い、筋も悪くは無いだろう。だが現実にそんな事が有り得るのか? トリューニヒトの顔を見たが彼も今ひとつ要領を得ない表情をしている。
「どうもピンと来ないな。フェザーンは拝金主義者の集まりだろう、裏の顔が有るにしても地球の復権を企む者たちの手で造られたなど到底信じられん。君達はそれを信じるのかね」
ネグロポンティが首を振って疑問を口にした。
「フェザーンは通商国家としてはいささか不自然なところがあります」
グリーンヒル総参謀長の言葉に皆が視線を彼に向けた。
「それもヴァレンシュタイン元帥の考えかね?」
「そうです」
ネグロポンティの言葉は皮肉だろうか? しかしグリーンヒル総参謀長は表面上は気にした様子を見せなかった。
「フェザーンは何故同盟と帝国の関係を改善しようとしないのでしょう?」
「?」
「通商国家にとっては戦争より平和のほうが経済活動に適しているはずです。それなのにフェザーンは同盟と帝国の間を裂くようなことばかりしてきた」
確かにそうだ、不思議と言えば不思議だ。しかし……。
「帝国は同盟を認めていない。この状況では関係の改善など無理だ、そう考えたのではないか?」
「そうは思いません。帝国が同盟を認めないからこそ、その中間で介在する国家は必要とされます」
グリーンヒル総参謀長が私の答えに反論した。
「例えば今回の捕虜交換です。本当ならあれはフェザーンが行なうべきものでした。捕虜交換に限らずフェザーンが帝国と同盟の間で両国の為に働けばフェザーンは同盟、帝国の両国から必要とされる、そうでは有りませんか?」
「……」
「両国から必要とされるという事はそれだけ発言力が増すと言う事です
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