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提督はBarにいる。
艦娘とスイーツと提督と・9
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もそも、缶ビール1本ごときで酔っぱらうようなヤワな身体はしていない。





「んじゃ、一通り南部煎餅を味わって貰った所で、今度は少しアレンジした物を味わって貰おうか。」

 そう言って俺が取り出したのは水飴。南部煎餅2枚を、水飴を接着剤代わりにしてサンド。昔から地元で食べられている食べ方、あめせんべいだ。

「水飴の甘さとお煎餅の塩気がちょうど良いですね!お茶にもよく合います!」

 よほど美味しかったのか、夢中で食べている瑞穂。顔立ちがお上品でどこかのご令嬢っぽいんだが、こういう無邪気な所を見ると、なんだかほっとするなぁ。

 南部煎餅はその素材のシンプルさ、素朴さ故にアレンジが幅広い。2枚を使って色々と挟んでみたり(アイスや水飴、変わった物だとたこ焼きやお赤飯なんかも!)、小麦粉が主原料だから料理に使ったりも出来る。

 クラッカーの代わりやピザ生地の代わりにして焼いても美味い。煎餅の裏側(南部煎餅の刻印がしてある方)にピザソース、好みの具、ピザ用チーズを載せてトースターに。煎餅は元々加熱済みだから、チーズと具材に火が通ればOK。手軽で美味い。



 そして何と言っても忘れちゃならない、せんべい汁。

「せんべい汁……あぁ、以前ゴーヤちゃん達に振る舞っていらっしゃいましたね。」

「そうそう、B-1グランプリでも大賞取った事がある、間違いなく美味い郷土料理だよ。」

 実は、B-1グランプリの言い出しっぺはこのせんべい汁で町おこしをしようとしていた『八戸せんべい汁研究会』だったりするのだが(実話)、開催から3年連続で2位とちょっと恥ずかしい事になっていたのは内緒。






「あ〜!提督が何か美味しそうな物食べてる!ずるいですよ!」

 報告に来たのだろう、千歳と千代田のちとちよ姉妹が入り口で怒鳴っている。

「しょうがねぇだろ?ホワイトデーのチケットのアレだ。お前らにはやらん。」

「えーっ!?提督のケチ!鬼!悪魔!」

「何とでも言え。欲しけりゃ瑞穂に頼め。」

「……お断りします♪」

 ものすっごいにこやかな笑顔で一刀両断。案外怖いぞ、この娘。俺はうすら寒い物を感じつつ、みみを肴にビールを煽った。
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