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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第242話 ボス第2戦目
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、中の様子は見る事は出来ないんじゃ……?」
「えとね、闇魔法の中に、《盗み見(ピーピング)》っていうのがあって……、プレイヤーに使い魔をくっつけて、視界を盗む呪文なんだけど、えと…… リュウキくん、出来るかな? 実演をして見せてあげた方が、判ると思うけど」
「ああ、一応出来るよ。……正直、好ましくない魔法ではあるが、別の魔法の習得の条件にも含まれていたから」

 リュウキは、そういうと 手早く詠唱を開始。
 すると、数秒後には、水色のトカゲが生まれて、足元をはい回っていた。

「わわっ!」

 ユウキの傍にきて、足元をうろうろしだしたトカゲ。驚き、飛びのきそうになったが、何とか我慢する事が出来た。

「ユウキ。HPゲージの下のアイコンを見てみてくれ」
「え? うん。……えーと、あれ? なんだか、目みたいなマークが追加された。あれれ?? 直ぐに消えちゃったよ??」

 きょろきょろしているユウキを見て、レイナが補足をした。

「それ、約1秒だけなんだ。そのアイコンが出てくるの。……だから、私の《戦いの歌(バトルカンタービレ)》やお姉ちゃん、シウネーさんの補助魔法でのアイコンと紛れ込ませちゃったんだと思う。ちょっとうっかりしてて、ごめんね。リュウキ君が壁を張っててくれなかったら、きっとひっつけられてたって思うから」

 リュウキの防御結界のおかげで、回避する事は出来たが、もしそのからくりに気付いてなかったら、高確率で、情報を盗み見されていた可能性が高いのだ。その手際の良さから見ても。

「うーん、そーだったんだー。ボクたちの後にすぐに攻略されちゃったのは、偶然じゃなかったんだねー? あっ! って事はそれ程までに、ボクたち、ボスを追い詰めてたんだね!?」

 敗戦直後は、悔しそうにしていたユウキだったが、以前の件。過去のボス攻略でのからくりを知っても、決して恨みや憤慨の響きは無く、ただただ前向きな姿勢。……そして、それ以上に喜びの声も上げていた。その事には、アスナやレイナは勿論、リュウキも仄かな敬意を覚えていた。

 正直に言えば、この手の手段は、キレイだとは言えない。自分達の手を汚さず、手をかけずに、他人の努力の結晶を横取りする様なものなのだから。だからこそ、リュウキは『格好良いとは言えない』とあの時言っていた。……かつての世界でも、そう言った手法は無数にあったから、どうしても 負の感情は抱きがちだった。
 だけど、このメンバーにはそれが無かった。……何だか、とても気分が良くなる、と言うものだ。

 だからこそ、そんな皆だからこそ、リュウキは改めて強く思った。
 
『絶対に勝たせてみせる。……他のプレイヤー達にとってみれば、オレのエゴかもしれない。……だが、それでも無粋な真似はされたくない』



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