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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十六話 安らぎ
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れていたようだ。ヤンの後をフェルナー准将がシェーンコップ准将が追う。シェーンコップ准将は護衛のつもりだろう。

二時間後、フェルナー准将はイゼルローン要塞を去った。何事も無く終わった事にほっとしたが、准将を見送るヤンの表情は厳しかった。シェーンコップ准将に尋ねたが、彼も会談には参加できなかったらしい。司令官室の外で控えていたそうだ。一体帝国からの話とは何だったのか? 皆がヤンに物問いたげな視線を向けたがヤンは答えなかった。



宇宙暦 797年 10月 6日    ハイネセン 統合作戦本部 ジョアン・レベロ


統合作戦本部の応接室に呼ばれた。しかも夜の十時に極秘に集まれとのことだった。トリューニヒトからの要請だったがそれ以外は何も分からない。応接室には既にトリューニヒト、ホアン、ネグロポンティ、ボロディン、ビュコック、グリーンヒルの六名が、私を入れて七名が集まっている。

「ボロディン本部長、そろそろ始めよう。私達をこの時間に呼び出したのは何故かね」
トリューニヒトがボロディンに話しかけた。どうやら今回の集合は軍の要請だったらしい。

「以前、フェザーンには裏の支配者がいるのではないかと話した事が有ります」
「うむ、分ったのかね。それが」
「分ったというか、何というか……」

ボロディン本部長の歯切れは悪い。かなり困惑している。会議を招集したのは彼のはずだ、それなのにこれはどういうことだ。彼だけではない、ビュコックもグリーンヒルも困惑したような表情をしている。どういうことだ? トリューニヒトも不審そうに彼らを見ている。

「我々がフェザーンに不審を持ったように帝国でもフェザーンに不審を持った人物がいます」
「……」
「エーリッヒ・ヴァレンシュタイン元帥。彼は密かに使者をイゼルローンに派遣しました。そしてフェザーンの裏の支配者についての自分の推論をヤン提督に知らせたのです」

「では今回の会議の招集は君ではなくヤン提督の依頼かね」
「正確にはヴァレンシュタイン元帥の依頼です、議長。彼はヤン提督に政府、軍上層部に知らせて欲しいと頼んだそうです」

妙な話だ、帝国が同盟にフェザーンの裏の支配者について知らせてきた。普通に考えれば謀略だろう、そうでないならかなりフェザーンの裏の支配者について危機感を持っているということか……。

「それで、ヴァレンシュタイン元帥はなんと言っているのだね」
「それが……」
ボロディンが一瞬言葉に詰まったが、意を決したように口を開いた。
「フェザーンの裏の支配者は地球だと言っています」

トリューニヒト、ホアン、ネグロポンティ、皆がポカンとした表情をしている。おそらく私もそうだろう。地球? それがフェザーンの裏の支配者? 一体何の冗談だ?


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