第43話『災厄』
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じで裏を行こう」
「それしかないね」
2人は再び、大通りを外れて路地を進む。
しかし、晴登たちと同じ考えで路地を進む人々も多くいた。そのため、さらに奥に奥にと進む羽目になる。
右に左に、複雑に入り組んでいて思うように前に行けない。
次第に焦りが募り始めたため、一旦止まって様子を窺ってみる。
──そして気づいた。
「…迷ったな」
「…迷ったね」
知らない道を走ると、結果は大概こうなるだろう。
2人は肩を落とし、頭を抱える。
「どっかの建物に入れないか?」
「無理そうだね。裏口があったとしても、大体鍵がかかってるはずだよ」
「うわぁ…」
大通りから外れれば外れるほど、路地はドンドン狭くなる。おかげで日光が遮られ、辺りはさらに薄暗い。
正直言って、右も左も同じ景色に見える。気分的には、いわゆる無限回廊を歩いている感じだ。
「風を使って屋上に登ってみる?」
「あまり魔力は使いたくないな。いざって時に戦えなくなっちゃうし」
「…ホントに手が無いな。せっかくラグナさんが逃がしてくれたのに」
「だから、ボクらは走り続けなきゃいけないんだ。絶対に生き延びないと」
「そう…だな」
ユヅキの言葉に納得し、晴登は重い脚に鞭打つ。2人はまた走りを再開した。
どんな迷路にも出口はある。そう信じて。
*
「ん?」
走り始めてすぐのことだった。ふと晴登の足が止まる。
進行方向とは別の右の通路。その視界の先には延々と通路が続いていた。
「どうしたのハルト? 止まっている暇はないんだけど・・・って、ハルト!?」
「……っ!」
ユヅキの声を無視し、晴登は右の道に入って走り始めた。
実は、今しがた見ていたのはただの長ったらしい道ではない。見ていたのは、その数瞬前に視界を横切ったものだ。
「智乃……?」
親愛なる妹の名を呟きながら、晴登は道を突き進む。
間違いなく、さっきの瞬間に少女が見えた。その顔が……智乃と酷似していたのだ。
この世界にいるはずのない存在。真実かどうかを確かめなくてはならない。
「たぶん…こっち」
少女が見えたのは一瞬だけ。今は勘を頼りに後を追っている状態だ。
自分が今どこを走っているのかなんてとうにわからないけど、もはや関係ない。
晴登は智乃らしき少女を必死に捜す。
「見つけた…!」
そしてついに、少し開けた路地でその少女を視認した。
数頭のウォルエナが車座になって囲んでいたという状況たが。
「…智乃、じゃない」
そんな危険な事態でも、晴登は確認を優先する。
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