第43話『災厄』
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らは俺をバカにし続けるだろ?」
「けど・・・っ」
そこまで言いかけたところで、晴登の袖が引っ張られる。
見ると、ユヅキがこちらを真剣に見ていた。
「ユヅキは…3人で戦った方が良いって思うよね?」
「思う……けど、ボクは少しでも生き残る人数が多い方を選ぶ」
「どうして…!」
「ハルトもだけど、ラグナさんもボクの恩人だ。恩人の頼みは聞かないとね」
期待を込めて晴登は訊いたが、ユヅキにキッパリと切り捨てられる。彼女はラグナを置いていく選択をしたのだ。
「ユヅキ……」
「行こう、ハルト」
ただただ情けない声を洩らすと、今度は手を掴まれる。そして手を引かれながら、晴登は最後にラグナを見た。
彼は無言で頷く。それが答えだった。
「…すいません、ラグナさん」
「お前が謝る必要はねぇよ。無事に逃げ切ってくれれば、それでいいんだ」
「…はい。必ず!」
その言葉を皮切りに、2人は駆け始める。
向かうは高台を降りる階段・・・ではなく、高台から落ちないよう仕切られている柵。
「飛び降りるよ、ハルト、着地お願いできる?」
「任せろ!」
何の躊躇いもなく柵を越えて跳んだ2人。その高さもまた5mはある。しかしその高さに怯えることなく、晴登は下に掌を構え、風を放った。
すると巻き起こった風がクッションとなり、2人の足がゆっくりと地面につく。
そして、後ろ髪を引かれる思いを断ち切りながら、東へ向けて駆けていった。
「頑張れよ、2人とも」
ラグナは見えなくなった2人を案じ、そう溢したのだった。
*
「やっぱり大通りは人が多いね」
「別の道はないの?」
「ボクはラグナさんの店以外は特に行かないから・・・正直わかんない」
「マジか…」
路地裏から顔を出して大通りの様子を見ながら、2人は話し合う。
ウォルエナが侵入してきたことで、避難する人でごった返す大通り。遊園地のアトラクションの行列でも比較にならないくらいの人の多さだ。東で既にこの量なのだから、西にもこれくらいはいるのだろう。となると、外に出るのは容易ではない。
「この人数を4つの門だけで出入りさせるのは無理がないか?」
「こういう事態に陥ることを想像してなかったのかな」
ユヅキの言う通り、恐らくこの王都では避難訓練など行われていなかっただろう。そりゃ人口が多すぎるからできないのも無理はないが。
つまり、大勢の人々がパニックになって一目散に逃げ出すのは、そういう裏があったのだ。
であれば、ここからスピーディーに避難ができるとは思えない。
「大通りは無理だな。大通りに沿う感
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