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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十二話 久しぶりの休暇です。
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少しは気が晴れたらしいが、ほどなくしてまたもとの不安そうな表情に戻ってしまった。
「でもね、私は怖いの。私たちはまだ尉官でしかないでしょ?私は中尉になったばかり。あなたは大尉。同盟を左右するようなポジションになってないもの。なったとしても私なんか胆力がないから、怯えるだけで無理なんだけれど。」
「・・・・・・・・。」
「あなたにこんなことばかり言ってごめんなさいと思うのだけれど――。」
アルフレートはカロリーネ皇女殿下の隣に座った。そして震えている彼女の手をぎゅっと握りしめた。ひいやりとしていてすべすべしたその手は小さかった。そういえばこの人にきちんと触れたのは初めてかもしれないな、アルフレートは意識の片隅で思った。
「僕だって怖いですよ。でも僕たちは一人じゃない。一人だったならどうしようもなく苦しんでいたことも、二人なら共有できるし、励ましあえます。」
「・・・・・・・・。」
「あなたと共に歩むことができたこと、そのことがとても心強く、とても嬉しいのです。」
「アルフレート・・・・。」
カロリーネ皇女殿下のもう一つの手がアルフレートの手の上に重なったところで、邪魔が入ってしまった。ドアがノックされ、慌てた二人が立ち上がった時に侍女が顔を出した。
「ファーレンハイト様とシュタインメッツ様がお戻りになりました。」
沸騰寸前の湯沸かし器のように顔を赤らめたカロリーネ皇女殿下がすぐ行く旨を伝えると、侍女は一礼して引き下がった。どうしてお二人は赤い顔をなさっているのかしら、と色々な推測をめぐらしながら。
「・・・・・・。」
しばらく二人はきまり悪そうに視線をチラチラさせていたが、アルフレートが失笑するとカロリーネ皇女殿下もつられて笑った。
「また機会を逃してしまいました。」
「今回は不可抗力という事で許す。」
カロリーネ皇女殿下がおどけた調子で言うと、二人は声を合わせて笑った。
「行きますか。」
しっかりうなずきを返したカロリーネ皇女殿下をエスコートしてアルフレートは部屋を出ていった。今は先々について考えるのはやめようと彼は思っていた。この一時のささやかな、だが、確かな幸せを余すところなく堪能するために。
宇宙歴796年帝国歴487年の年は静かに幕を開けた。どのような年になるかを大多数の人々は知悉しえない。それを動かしうるごくわずかな人々もまた、どのように歴史が動くのかを知ることはできずにいる。
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