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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十二話 久しぶりの休暇です。
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たが、それでも周りのリッテンハイム侯爵一族に対する眼は冷たいものだった。かつての大貴族の長も没落してみれば、農奴以下の扱いしか受けられないことにサビーネはショックを受けていた。熱を出して寝込んでしまいそうになったこともある。
「幻想よ。」
不意にどこからかそんな声が聞こえてきた。空耳かも知れなかったが、サビーネは顔を上げてあたりを見まわした。
「そんなところにいると、風邪をひくわよ。・・・って、ごめんね、ここはあなたのお父様お母様が眠っていらっしゃる場所なのだものね。」
アレーナ・フォン・ランディールとエステル・フォン・グリンメルスハウゼンが立っていた。墓には遺体はむろん収められておらず手の込んだものでもなかった。内乱が終結した直後にサビーネは手を傷だらけにしながら周囲の苔むした石を積み上げて墓らしいものを作り、綺麗に拭いたのち、わずかな身の回りの品から両親からもらった形見を墓の中に収めたのである。その作業の間何度も泣きだしそうになった。必死になってこらえることができたのはその時手伝ってくれたアレーナ、そしてエステルに対して配慮したからにほかならない。
「アレーナお姉様、フロイレイン・グリンメルスハウゼン・・・。」
二人の手には花束が抱えられていた。この寒い季節にどうして手に入れたか、鮮やかな薔薇の花束を持っている。
「ここにはそぐわないかもしれないけれど、せめてお墓の周りはにぎやかにしたいと思って。邪魔だったら持って帰るけれど。」
サビーネが首を振ったので、二人はそっと進み出て花束を墓石の前に置いた。そしてサビーネを間に挟むようにたって、手を合わせてお祈りしていた。
「偽善だって思う?」
祈り終わったアレーナがサビーネに話しかけた。アレーナと親しいイルーナやラインハルトたちは皆正規艦隊としてリッテンハイム侯爵と戦ったのである。いわば仇と言ってよかった。
「・・・・私には、わかりません。」
ぽつんとサビーネはつぶやいた。
「少なくとも、幻想だとは私は思いませんわ。」
アレーナが一瞬身じろぎをした。「幻想よ。」の言葉を聞かれてしまったことに対しての物なのか、あるいは聞かれもしないことを言われてしまったことに対しての戸惑いなのか。
サビーネは大きく息を吐き出して、墓をじっと向いたままぽつりぽつりと話し始めた。
「アレーナお姉様、私、身をもって知りました。この世の中には、絶対という事はないのだという事を。私のお父様でさえ此度の騒乱で亡くなりましたわ。大貴族の長として自他共に認められたお父様が・・。」
アレーナとエステルはサビーネの言葉をじっと聞き入っている。
「私は気が付いてしまったのです。お父様に起こったことは、すべての人に当てはまるのではないか、と。ブラウンシュヴァイク公爵も、そして・・・恐れ多いことですが、皇帝陛下
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