暁 〜小説投稿サイト〜
ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第七十二話 久しぶりの休暇です。
[1/10]
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
帝国歴486年12月25日――。
帝国歴486年7月30日に和平条約が締結され、その有効期間は1年間と定められていた。この間に、同盟、帝国双方では「休養」状態に入った。損傷した艦艇を保守し、疲弊した経済を立て直し、損耗した兵員を回復させ、訓練させる。すべては来るべき戦いのためにである。
帝国はリッテンハイム侯爵とブラウンシュヴァイク公爵の内乱に突入したが、12月末にはすべての処理が終わり、クリスマスを迎え入れることができたのだった。今後半年余をどうするか、それはひとえにラインハルトの思惑にかかっているのだが、さしあたって彼は元帥府を開設してから、平常業務のほかは何も指令しなかった。一つには年末に入っていたこともある。ラインハルトは麾下全員に対し12月25日からの休暇を奨励している。原則として平常勤務以外の者は休暇を取るようにとのお達しがあった。また、元帥府自体も12月28日から1月3日までは休日として一切の業務を行わないことになっている。もっとも予備動員をかけられている者については帝都から1日の距離範囲内を離れてはならないという保留付きではあったが、これとても新年に復帰してくる将兵と交代で休暇を取らせる予定となっていた。
ラインハルトの麾下には数千万の将兵が付属している。それら一大集団を統御することは並大抵のことではない。だが、訓練をするにしろ方針転換をするにしろ、ラインハルトとしてはせめて年末年始は可能な限り静かにそれぞれの家族の下で過ごさせてやりたいと思っていたのだった。
* * * * *
帝都オーディン郊外には戦没者の墓がある。そのさらに奥、あまり人気がないところには、名も知れぬ墓がひっそりとたたずんでいる。いわゆる無縁仏や身分が低い者の墓などだ。
さらにその奥には、森に埋もれるようにしてひっそりと墓が目立たぬように作られている。
冬にしては珍しく冷たい小雨が降り注ぐ中、サビーネはうっそうとした草むらの中に佇む墓に静かに手を合わせていた。
「お父様・・・お母様・・・・お兄様・・・・。」
押し殺した声が涙を伴う。自分一人生き残って一族は皆死んでいった。親しい友達も彼女から遠ざかり、今一人ぼっちである。いったい生き続けることに何の意味があるのだろう。かつてのリッテンハイム侯爵の息女であったころ、それも宮中に上がる前の頃は、いつも周りに取りまきがいた。自分の耳に楽しい事ばかり言ってくれる取りまきがおり、何でも欲しいものをかなえてくれる優しかったころの父母、そして兄たちがいた。それがことごとく戦死、処刑されてしまったのである。
サビーネは一人になった。
すでに軍属になっていたから、女性士官学校候補生の宿舎に入っていたし、身分は隠していたからリッテンハイム侯爵家の人間だとは気づかれなかっ
[8]
前話
前書き
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ