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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
三十一話 刹那の妙技
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な。大したもんだ……どっちもな」
苦笑しながら、拍手を送るライノの表情はどこか複雑そうに、リングを去ろうとする気絶したクレヴァーを見送っている。傍らでは、クラナが礼をもって其れを見送っており、その間には強者との試合に対する感謝と敬意がにじんでいた。

────

「なのは、さっきのあれ……」
「うん!アルテアさんの瞬間砲撃!」
瞬間砲撃(モーメント・シェリング)
その名の通り、その魔法は、一秒以下に近い非常に短い時間の魔力放出による砲撃魔法だ。原則として、射砲撃系の魔法という野はその発動にある一定の「タメ」を必要とする。そのため、特に近接戦闘を得意とする魔導士はこれをあまり多用しない傾向がある。
そんな中、元々魔力刃を主体とする近接戦闘型の魔導士だったアルテアが、中距離戦闘におけるけん制を主な目的として編み出したのが、この瞬間砲撃だ。瞬間的に、ある極々限られた一点からノータイムで高出力の魔力放出を行いそれを砲撃として打ち出しつつ、発射地点を薙ぎ払うことで平面的ながら広範囲を攻撃することのできる魔法である。無論、砲撃その物が非常に細く、また瞬間的な物になるために大きな威力は期待できないが、突撃によるヒットアンドアウェイを繰り返す相手へのけん制や、間合いの外に出て安心した相手に対する追撃など、多様な場面で効果は発揮されていた。
なのはやフェイトも、模擬戦で何度これを食らったか分からない。アルテアは割と容赦なくこれを撃ってきたのだ、顔に。

「クラナ、何時の間に……」
「練習は、子供の頃からしてたの」
「えっ?なのは、知ってたの?」
懐かしそうに言ったなのはに、意外そうにフェイトが尋ね返す。その言葉には、純粋な疑問の色が聞き取れた。彼女は一つ苦笑すると、コクリとうなづいて答える。

「うん。前の大会の後に、クラナに相談されたことがあって……遠距離戦をする方法が欲しいけど、みんなみたいに魔力弾が出来ないから、じゃあお母さんのあれなら出来るかもって思ったって」
「でも、なんでなのはに?アルテアさんに教わるんじゃ……」
「それは……」
少し言いよどんだなのはに、フェイトが気が付いたように口に手を当てた。

「あ、そうだよね……ごめん……」
「ううん。それで、お手本を見せてほしいって」
「じゃあ、その頃から出来たの?」
「ううん!結局、私が教えてる間にクラナが使えるようにはならなかったよ。だから……」
そう、だからつまり、あの魔法は彼が鍛錬を続けた結果なのだろう。彼の積み上げた四年間の一つの結果が、今回の勝利を生んだ。自分達が知るまま、変わらないクラナと、自分達が知らないまま変わっていくクラナ。奇妙な話だ、まるで過去と現在を、同時に見ているような感覚になる。

「よしっ……いこっ、フェイトちゃん!」
「行くって、な
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