鎌鼬
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み込まれている。それは酷く迂闊な子供の悪戯みたいな、バレバレの洗脳だ。だが毎日やられると酷くこたえる。だから俺は、感情を正しく上書きする為に今日も洞へ向かう。
向かうのだが。
「まーた来たのか。飽きないねぇ。甘味は持ってきたんだろうな」
―――てめぇが毎日来いっつったんだろうが!!!
「お前が毎日毎日馬鹿の一つ覚えみたいにポチるからだろうがこの祟り神が!!これ祟りの続きか!?」
「くっくっく…いい時代になったものだねぇ…」
……あれ?このイラッとくる感じ、本当に夢のせいか?
「おい青島!やっぱりその段ボール50回手刀食らわせて石段の上から蹴り落とせ!!」
「やめやめ。カップヌードル謎肉祭りバージョンだぞ。期間限定でねぇ、駄目にされたらまだ売っているかどうか…」
「まじか!?なに買い占めてんだよ3個もらうぞ!」
お前もジャイアン健在かよ。
「…その足元」
配達員が荷物を荒らして中身を抜き取る…という何処ぞの発展途上国みたいな状況の中、相変わらず本に目を落としていた奉が、ふいに目を上げた。ん?とか呟きながら鴫崎が足元に目を落とすと。
「…あー、またかよぉ」
制服の脛の部分に、粘性の液体がべったりと3か所ついていた。
「ここんとこ、よくこんなのついてるんだよな」
「俺もだねぇ」
暫く、洞の中がしんと静まり返った。
「―――やっぱりお前関連かよ!!」
すい、と濡らしたタオルが横合いから出て来た。俺が持って来た豆大福も盆に乗っている。鴫崎が相好を崩した。
「お…ありがと、きじとらちゃん。今日も可愛いねぇ。俺はもう、君に逢いに来ているんだと思うことにするよ♪」
―――っち。
今日のきじとらさんは、シックな紺色のワンピースにフリルが可愛らしいエプロンを重ねていた。俺も屈託なく『可愛いね』と云いたい。が、刃物を突き付けられるという、あまりにもあんまりな振られ方をして以来、彼女だけではなく俺も少し距離を置いていた。
俺か奉、どちらかが死ぬ。そんなシビアな状況は依然続いているわけだし、彼女はきっとまだ俺の命を狙っているのだ。…やばい、泣きそうだ。
「鎌鼬、だねぇ」
奉が呟くと、きじとらさんが振り返って少し首を傾けた。…やっぱり可愛い。もういっそ殺されるなら彼女がいい。
「かまいたち?アレか?」
鴫崎が、ひゅっと空を手刀で切る真似をする。奉がこくんと頷いた。
「そいつが何で俺のズボンに粘液テロを?」
……粘液テロ……。
「鎌鼬が三位一体の妖であることは知っているか」
「知るかよ。馬鹿か妄想狂が」
―――ひっでぇ。
「…まず最初に先頭の一頭めが風を巻き起こす。二頭めが切り、三頭めが薬を塗って去っていく」
奉は読みかけの本を栞も挟まずに閉じた。続きの頁を正確に開くのは、こいつの特技だ。
「滅
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