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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
男は辛いよ
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「大戦、なーんて短絡的な展開にはならないとは思ってるッスけどね。少なくとも今みたいに裏方さえしっかり機能してさえいれば、暴発はしないと思うッス」
だけど、とスプリガンはくすんだ金髪の先っぽを間抜けに揺らしながら、口を開く。
「小日向相馬。彼が《最初の銃弾》になる可能性が高いとも思ってるッス。《鬼才》とまで評される天才が、何の思惑も目的もなくここまでやってるとはさすがに信じられない。絶対に何か、そこにはゴール地点が設定されているはずッス」
「――――それが……アカシック・レコード、かな……」
ぽつりと放たれた言葉に、少しの間沈黙した金髪の男は「さぁね」と肩をすくめた。
雑踏の中、呟かれるように交わされる二人の言葉は、吸い込まれるように消えていく。顔は動かさず、視線のみで周囲を窺い、こちらを注視する影を探した後で、スプリガンは頭の後ろで腕を組む。
「
偽物
(
ダミー
)
の先にある……
天理
(
アカシャ
)
……か」
呟いたまま視線の先を茫洋の彼方へ飛ばす金髪の男の横顔を見る黒髪の男だったが、ポーンという軽やかな電子音で意識が引き戻される。
視線を、手元に出現したメール着信を示すウインドウに巡らせ、発信者名を見た黒髪の男は思わず呻いた。
何事かと怪訝な顔をするスプリガンの鼻っ面に、可視モードにしたウインドウを突き付ける。
発信者は、彼の妻。
実直な性格をそのまま反映したような、きっちりとした文章を目で追っていた金髪の男は唇の隙間から「うげっ」と小さな声を漏らした。
その気持ちも押して分かる黒髪のウンディーネは、小さくため息を吐きながら、確認事項のように事務的な口調で言葉を重ねる。
「
目標
(
ターゲット
)
が本格的に動いてるらしい。狙いはケットシーだ」
現実的な話から仮想世界に意識を引き戻された金髪男は、ガリガリとツンツン頭を掻き毟りながら喚いた。
「だーッ、もう!いつかは動くと張ってたけど、まだ先っつーハナシじゃなかったッスっけ?!」
「やはり、レン君がいなくなった今が好機と思ったんだろう。今ならケットシーの取る行動全てが『ケットシー強すぎ』で片づけられるからね」
それによって、一般プレイヤーからの苦情が大きくなり、運営体はケットシーの種族特性への
下方修正
(
ナーフ
)
を迫られることになる。
そうなれば、今均衡がとれている妖精九種族間のパワーバランスは著しく歪むだろう。
「チッ、嫌なトコを……」
「メールによれば、ケットシーは現在情報的に攻撃を受けているらしい。おそらく
目標
(
ターゲット
)
の目的は、ケットシー側に
竜騎士
(
ドラグーン
)
や
狼騎士
(
フェンリル
)
を焦って動かさせることだろう。動かしたという事実を起点として、さも嫌らしい英雄譚でも仕立て上げるつもりだ」
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