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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百二十三話 キュンメル事件(その1)
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レンシュタイン元帥の事を良く知っている。そしてミュッケンベルガー元帥も当代の英雄……。二人からヴァレンシュタイン元帥の事を聞き、ミュッケンベルガー元帥と話せればハインリッヒも満足するだろう……。

「フロイライン・マリーンドルフ、キュンメル男爵はお疲れのようだ。我等はそろそろ失礼させていただこうと思うが」
ミュッケンベルガー元帥が辞去をほのめかしたのは歓談が一時間ほど経過した頃だった。確かにこれ以上はハインリッヒにとって負担になりかねない。

「そうですね。ハインリッヒ、今日はこのくらいにしましょう」
私の言葉にハインリッヒはクスクスと笑い始めた。突然の事にミュッケンベルガー元帥父娘も訝しげな表情をしている。

「どうしたの、ハインリッヒ」
「残念だけど、皆は此処から帰れない」
「どういうことだ、キュンメル男爵」

ミュッケンベルガー元帥の厳しい問い詰めにハインリッヒは唇を歪めた。
「この屋敷の地下室にはゼッフル粒子が充満しているんです。これを押すと爆発して此処は吹き飛ぶでしょう」
そう言うとハインリッヒはポケットから起爆装置を取り出した。

「ハインリッヒ、あなたは……」
「御免、ヒルダ姉さん。でも、こうでもしないとヴァレンシュタイン元帥とは会えない……。姉さん、僕は彼と会いたいんです。ヴァレンシュタイン元帥と連絡を取ってください」

「その必要は無い。あれには知らせるな、フロイライン・マリーンドルフ」
「そうです、知らせてはいけません」
元帥とユスティーナが口々に止めた。

「ハインリッヒ、馬鹿な真似は止めて。ヴァレンシュタイン元帥とは後で会えるわ、だから……」
止めようとした私をハインリッヒが遮った。

「嘘だ!ずっと彼と会いたいと姉さんに頼んでいたのに、姉さんは取り合ってくれなかった。彼と会いたいんです……、僕には時間が無いんだ! 分かってるでしょう、ヒルダ姉さん」
「……」
私は間違っていたの? もっと早く元帥に御願いすればこんな事にはならなかった?

「姉さん、ヴァレンシュタイン元帥は婚約者と未来の義父を失いたくは無いと思いますよ。連絡してください」
「……ハインリッヒ」

「姉さんが連絡しないのなら僕がします。但し警察にです。もっと大事になります、それでも良いですか」
「……」



帝国暦 488年  8月 16日  オーディン  宇宙艦隊司令部 エーリッヒ・ヴァレンシュタイン


TV電話には蒼白になったヒルダの顔が映っている。嫌な感じだ、何が有った?
『元帥、今キュンメル男爵邸にいます』
「……」
何となく想像がついたが、考えたくない……。

『私のほかに、ミュッケンベルガー元帥とユスティーナ様も一緒です』
「それで」
『キュンメル男爵邸の地下
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