115話 亡霊2
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手酷いとしか言いようがない強烈な一撃を加えるし。あの光は魔法じゃない、テンションだと思う。
普段、手数でごり押せばそんなまどろっこしいことをしなくてもいいからか、そんなに使っているのを見ないけど、亡霊とかそういう「魔物」には何も付加していない攻撃は通りにくいもんね。それでも普段は何もしなくてもぶった斬れているから見ないんだろうけど。
至近距離からサーベルで斬られそうになるのを楽しそうに楽しそうに鍔迫り合いをして受け止め、亡霊に打ち勝つほどの力でどんと突き放す。また一瞬よろめいた隙に僕は懐に飛び込むごとく雷光一閃突きをお見舞いした。
確かな手応えは目論み通りのダメージを与えたことを確信させる。でも僕はその余韻に浸るまでもなくトウカに腕をぐいっと強く引っ張られた。正直、肩が外れるかと思ったよ。でもその判断は正しかった。
次の瞬間、ヒュウと鋭い風切り音が耳に遠く聞こえたんだから。
僕は全身を切り刻まれるような痛みを感じ、とっさに根源に向けて薙ぎ払う。手応えは薄く、命中しただけでも僥倖、かなぁ。
降り注ぐようにベホマラーの温かく柔らかい光が僕らを癒す。たらりと頬から血を流しているトウカが口角をにいっと釣り上げるのを目撃しながら。
そして彼女は跳んだ。ぶわりと前髪をはためかせ、瞳を爛々と輝かせて、獰猛な笑みを浮かべて、光のように素早い動きでキャプテン・クロウに突撃して。
「そう来なくっちゃねぇ!」
あはは!といっそのこと無邪気に聞こえる笑い声がこだまする。それに少しだけ遅れて連続的に剣を打ち合う音。それはどんどん、どんどん早くなっていく。
ものすごく無茶苦茶に力任せに剣を振っているにしか見えない連撃は、再び飛んできたバイキルトによって凶暴さが増し、哀れな亡霊は無理矢理ねじ伏せられた。
とはいえキャプテン・クロウの方だって楽しそうだったんだから同罪だ。戦闘を始める直接に力を見せろとか言っていたんだから死してなお戦いを求めていたってことだよね?とんだ戦闘狂じゃないか……。
いつの間にか投げ捨てられて出番の欠片もなかった氷の盾が寂しく横たわっているのに気づいたのは戦闘が終わってからで、すっかり忘れているらしいトウカに渡すべく、剣を捨てて降参した亡霊を尻目に僕はそっと拾い上げた。
・・・・
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