114話 予感
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あ、不思議な木の実見っけ。
これ食べたら私も魔法が使えるかな……って既に試してるから無理だけどね。誰にあげようかな、やっぱり回復役のククール?それとも攻撃役のゼシカ?エルトでもヤンガスでも良さそうだよね。ま、後で考えよっと。
よーし、みんなただいま!競争だね?なら今すぐ突入だっ!
・・・・
・・・
・・
・
「最近新しい剣技を覚えたんだよ!」
「へぇ……」
「ほら、『ゾンビ斬り』!」
「ただ十字に斬ってるだけじゃねぇか?」
「あ、バレた?でも、倒せりゃいいの!」
見えないぐらい速い斬撃が十字の軌跡を描いてボーンファイターを葬り去る。本人の言う通りただの隼切りなんだろうが、威力は普段と同じく果てしなく強力だ。
残像がチラつき、時折松明の光にギラギラと反射して雰囲気は聖なる剣というよりも魔剣だな。
「聖なる力で攻撃!とかとてもワクワクするよね、ククールとお揃いになるし。信者でも聖職者でもなんでもないから出来そうにないけどね!」
「信じてねぇのかよ……」
「存在は信じてる!助けちゃくれない!」
「……あぁそうだな」
さっぱりとした明るい口調で神の救いを斬り捨てたトウカは祈りなんかよりも確実に効果のある剣をぶんぶん振るって道を切り開き、仲間を奥へと導くように立つ。
なんとも男前な後ろ姿を守りたいと思わない訳でもないが、もはや俺は諦め気味に怪我を負っているようなら治すということに特化してじっくり見つめていた。大丈夫そうだと思いながらもほぼ常に呪文を詠唱するくせでスカラをトウカにかける。……別にスクルトでも良かったな。
……トウカ以外の誰かからの視線が突き刺さるのを感じるんだが。ゼシカはともかく野郎二人は頑丈なんだからアタッカーで前衛の癖に守備が弱めの……回避率は高いが……トウカに回すぐらい贔屓でもなんでもないだろ。
「ありがと!」
薄暗くてジメジメとしている洞窟の中でもきらきらと眩い笑顔が一瞬向けられて、俺はスカラの重ねがけを決意する。単純?言ってろ、トウカはな、こういうデレは多めでも意識してくれる事はまずないから、ひとつひとつが大事なんだぜ。
最後尾の俺の背後から襲い来る魔物どもに左手でバギクロス、右手でスクルトを唱えつつも何度見ても頭の中にはトウカと笑顔が焼き付くものだと自分の想いように感心、だ。ここまで手応えがなくてよく続いてるもんだよな、と。
左手に馴染んでいるのが杖でなきゃもう少し前向きになれたと思うんだがな……。俺は、というか一応俺も騎士だぞ?レイピアを持っていて邪魔になることはないが杖の方がいろいろ便利だ、とそれだけの理由でこのザマかよ……。
ひらりひらりと魔物どもをすり抜け舞う姿にあの酷すぎる怪我の名残は何も無い。それ
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