第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#34
星魔の絶戦 千変VS星の白金U〜Heart Of Connect〜
[4/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
して侮れぬと云わしめる凄まじさだというコトだ。
バラバラと、爆発で砕けた燐子の残骸が山吹色に爆ぜながら消えていく。
外形はフリアグネが造ったものだが
内部に込められた力はティリエルのモノなので
炎の色彩は彼女の存在に準ずる属性となる。
最後によろよろと、身体半分吹き飛ばされた燐子が
敗残兵のようにエントランスをくぐるが、
空拳の軌跡に触れて爆滅した。
「あ、ありがとうございます、ライトちゃん。助かりました」
本質的には自分で自分にお礼を言ってるに等しい状態だが、
彼女 (?) を自分の分身とは認識してない少女は
傍に立つスタンドに深々と頭を下げた。
対して言われたスタンドは頭を下げる宿主に小首を傾げ、
いつでも呼んでという思惑を残し消えていく。
本当に、どっちが 「本体」 だが解らない光景だったが
スタンドとの関係性に答えなどないのでコレはコレで良いのだろう。
再び静寂、想定外の爆発は有ったが破壊目標であるピニオンは
無傷で蔓を蠢かせ頭上から山吹色の火の粉を撒き散らす。
「さて、困りました。中に入れません。
入り口にあんなにたくさん敵の方がいるとなると、
中はもっとたくさんいるはずです。
上へ行けば行くほど、強くてたくさんの人達が」
父の好きな映画、弟の好きなゲームを思い出す推測だったが、
概ね、間違っているとは想えなかった。
目的の場所、相手にとっては一番近寄らせたくない所に
厳重な警備を敷くのは当たり前だ。
さっきは 『聖 光 の 運 命』 の機転で事なきを得たが、
アレ以上の数の敵が迫ってきたら幾ら彼女でも持たないだろう。
何より自分が捕まってしまったら、彼女は何も出来ずにやられてしまう。
スタンドと本体は一心同体で友人関係のソレとは違うのだが、
少女の心の裡で彼女は最初から単なる 「能力」 と呼べる存在として
認識されていなかった。
どうしよう? 純粋で切実な局面、
しかしその最初の一歩すら踏み出せない緊縛の中で、唐突にある声が甦る。
「この主人公バカじゃないの?
ボスが5階にいるのが解ってるなら、
ヘリとかはしご車使えばいいじゃん。
それかダイナマイトで塔ごと吹き飛ばすとかさ。
なんでわざわざ苦労して1階から昇ってくわけ?」
半裸の武道家が激しいアクションを繰り広げる
映画を見ている時に、弟が発した言葉。
若干ヒネた所がある彼の言葉に父は男のロマンが解らないヤツだと笑っていたが、
その何気ない日常の記憶が少女の脳裡にある閃きを生み出した。
「――そうだ、ありがと、健」
茫漠とした表情で、今は遠く離れた、たった一人の弟に感謝を告げる。
自分が家を離れる、別れ際のその時まで怒ったように何も言わなかった
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ