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リリなのinボクらの太陽サーガ
ピースウォーカー・後
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れた赤黒い光が集約していき、無くなったはずの“左腕”を構築したのだ。ダーク属性の赤黒いエネルギー体で形作られた禍々しい左腕……皮肉にもマキナの魔力の手と似たその腕が後ろから彼女の身体を貫き、心臓を奪い取ったのだ。

そしてオリジナル・なのはは飛行魔法を発動、なんの躊躇もなく心臓ごと左腕を引き抜き、地上から数メートル上空に浮遊する。不意打ちをくらったマキナはバイクから転落、叩き付けられた彼女の身体が転がり、滝のように出る血が地面に真っ赤な湖を作り出していく。

操縦を担当していたアギトがマキナの下に慌てて駆け付けたため、バイクはコントロールを失って壊れた次元航行艦に衝突、大破してしまった。だがアギトはそんなことよりも、生命の気配が凄まじい勢いで消えていくマキナの容体を見て頭の中が真っ白になっていた。そして裏切ったオリジナル・なのはが視界に入り、先の怒声をぶつけたのだ。

「ど、どうなってるの……!? 私のオリジナルに、一体何が起こってるの!?」

「間違いない……性質は変異体に近いが、あれはヴァンパイア化だ。彼女に宿っている暗黒物質が、ソルジャー遺伝子を介して暴走しているんだ!」

「暗黒物質の暴走!? で、でもポー子爵は、私のオリジナルはグールにすらなれないって……!」

「ああ、だからあの姿はオリジナル・なのはの無意識下にある生存本能と暗黒物質が融合した影響だろう。変異体と同じく他者を取り込むほどに強くなる……そして奪って得た力を肉体の維持にも回しているんだ」

「じゃあマキナちゃんの心臓を奪ったのは、彼女の力を吸収するつもりで……!」

「それだけじゃない。暗黒物質によって無理やりエナジーを引き出してきたオリジナル・なのはと違って、マキナは感情の爆発によって自力で目覚めた……つまり彼女より暗黒物質への耐性が強いんだ。彼女の生存本能が、それを欲したんだ! 奪わなければ身体が崩壊するから……!」

「もしかしてサヘラントロプスの生命維持装置は、肉体の崩壊を防ぐだけじゃなくて、暗黒物質の暴走を抑えていたのかもしれない……! ポー子爵が言っていたのはこの事だった……その意味に気付かず私達が解放したことで、その枷が外れてしまった……」

「しかし彼女の肉体は限界寸前だから、あの姿はもって数分しか維持できない。だけどその分、力はヴァランシアが求めたクイーン同然だ。あれを一言で表すなら、さしずめ“リトルクイーン・オブ・イモータル”とでも言うべきか」

リトルクイーン・オブ・イモータル、高町なのは。ジャンゴの表現したそれは、今のオリジナル・なのはを的確に示していた。そして当の彼女は左手に持つマキナの心臓を……、

―――ガブッ! グチャッ……グチャァッ!

「ま、マキナちゃんの心臓を……食べた!?」

「……なのは
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