ピースウォーカー・前
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ブリッジで通信を受け取ったクロノはモニターを大きく展開し、向こうの状況が全員に見えるようにした。映像は中心に焦燥感溢れる表情のはやて、背景に戦闘中の仲間達、そしてサヘラントロプスが映し出されていた。
「はやて、そっちで何があった?」
『時間が無いから、詳細は巻くで。実は―――』
はやてから現状の説明を矢継ぎ早に伝えられ、クロノは説明不足の部分をいくつか想像で補いながら大まかな事態を把握した。
「了解した、すぐに応援をよこす。それまで何とか耐えてくれ!」
『出来るだけ急いでな! 私らだけでは正直厳しいから!』
「わかってる、もう誰も犠牲を出す訳にはいかない! ……エイミィ、全部隊に緊急出動を―――」
『―――その必要は無い』
クロノが出撃命令を出そうとした瞬間、唐突に別のモニターが展開して野太い男の声が聞こえた。クロノが眉をひそめて映像の人物を睨み付ける。
「アルビオン大司教……どうして……?」
茫然とした表情で、エイミィがその男の名を言う。高位の法衣を纏った初老の男は口元の髭をさすりながら、やけに清々しく告げた。
『聞こえなかったか? あれを破壊する必要は無いと言ったのだ』
「核の使用を見過ごせとは、どういうつもりだ……!」
『次元世界の安寧のためだと管理局が訴えてきたにも関わらず、エネルギー資源を渡さないどころか強固に抵抗して苦渋をなめさせ続けた敵の国家が、あれを放っておくだけで滅ぶのだぞ? それにだ、どうせ今から向かおうと間に合うわけがない。ならばあえて無視を決め込み、敵同士が倒れた所に我々が救いの手を差し伸べれば良いだろう』
「つまり……あなたは漁夫の利を得るために見捨てろと言いたいのか! そして弱った所を付け込み、管理世界の意図に従うように仕向けるつもりか!」
『管理局は今まで何度もこういった事をしてきた、今更だろう? たった一つの管理外世界と管理世界全て、どちらの存続を優先するべきか……最年少執務官ならわかるはずだ』
「いや……わかっていないのはあなただ、大司教。僕達はそんな卑怯者の選択はしない。僕達は助けを求める者全てに手を差し伸べる。少し前まで敵対していようとも、相手は同じ人間だ。僕達と同じ……生きている命だ! その命が失われようとしているのならば、一人の人間としてそれを止めてみせる!」
『愚かな……自らの物を分け与えようとしない傲慢な彼らを生かすということは、管理世界の者達に苦しみを強いるということなのだぞ? お前は見知らぬ連中のために、親しい者達が苦しむのを許容できるのか?』
「だからと言って相手の物を無理やり奪い取ろうとするのは間違っている! ましてや滅ぼしてまで手に入れようとは思わない! それに、人を見捨てた罪悪感は永遠に苦
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