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ep.031 神薙と神薙
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佳奈を連れ去られてしまった仁は失意で何1つ言葉を発さない状態まで陥っていた。
無理もない。
相手はテロ組織のように凶悪な組織だ。
情報を吐かされれば即始末されるかも知れない。
しかし、そこに1人の人物が現れた。
神薙悠持だ。
彼は佳奈を取り返せなかったことを謝りに来たのだ。
そのついでという訳でもないが悠持の手には2本のココアのジュースの缶が握られていた。
「.......隣、良いか?」
仁は静かに頷いた。
悠持は隣に座るとココアの缶を1つ人に手渡した。
仁は僅かにそのココアの缶を見ると、またそっぽを向いてしまった。
「お前の仲間のこと、すまなかった。」
「..................。」
悠持の謝罪に対して仁の反応は変わらず"無"だ。
しかし、悠持はそれくらいは覚悟していた。
それ故に、仁に言いたい愚痴も持って来ていた。
「俺さ、昔弟がいたらしいんだよ。」
それは愚痴というよりかは身の上話という方が相応しい気がしたが、敢えて指摘はしない。
それに、仁が気になったのは「らしい」という言葉遣いだった。
「"らしい"ってどういうことですか?」
仁の質問に対して悠持は顔を伏せる。
その光景から、あまり良くない話なのは理解できた。
それでも仁には、何故かその話を聞かなければいけない気がしたので仁は話してくれるようにお願いした。
「俺はもっと小さかった頃は地上にいたんだ。 その時は両親がいて、平凡な毎日だったのをなんとなく覚えてる。 けど、俺は学園都市の運営の都合で第0学区に連れて行かれたんだ。 その頃に俺に弟がいたような記憶が僅かに残ってるんだよ。」
しかし本人曰く確実ではないため、"らしい"という扱いになっているのだ。
仁も悠持の話につられて話を始める。
その話は"佳奈"についてではなかった。
「俺にも兄がいたらしいんですよ。」
仁の言葉で悠持は衝撃を受けて、ふと仁の方を見る。
こんなにも辻褄が合いそうな話があるだろうか。
しかし、仁は話を続けた。
「兄の存在は親から聞きました。 俺が生まれて間もない頃にいなくなったって。 でも......。」
「でも?」
悠持はこの"でも"に少し嫌な予感がした。
この"でも"によって自分たちがひょっとすれば兄弟かも知れないという可能性が消される気がしたからだ。
しかし、悠持は話を止めない。
「でも、それから数年後に"兄が死んだ"っていう報告を聞かされました。 正直、何も感じられませんでした。 顔も分からない兄が死んでも感情移入なんてできません。 それから佳奈に出会って、その数年後に両親は二人とも亡くなりました。」
「............そうか。」
悠持の返答
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