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『八神はやて』は舞い降りた
第6章  『八神はやて』
第49話 家族が増えるよ!! やったねはやてちゃん!
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、叫び声をあげる少女を煩わしいとでもいうに、蹴り飛ばした。壁に叩きつけられ、今まで感じたことのないほどの激痛が全身に走る。肺の空気が吐き出され、呼吸ができなくなる。床に這いつくばった少女は、それでも諦めなかった。


(逃げなくちゃ…!)


 身を張ってかばってくれた父をみて、どうにかしようとあがく。自分が死ねば、庇ってくれた父の行動が無駄になってしまう。死んだら父と会えなくなってしまう。子供らしく父の生存を信じている少女はそう思った。
 その一心で、痛む身体を引きずって逃げようとする。だが、悪魔は、そんな彼女をあざ笑うかのように、甚振り、ゆっくりととどめを刺そうとしていた。 


「ぐ、う、ううぅ……」


 気力を振り絞って逃げようとする少女だが、どう考えても逃げられそうにない。そんな絶望し涙を流す少女の目に、青い輝きが映った。
 その光は、昼間、拾ってきた青い宝石から放たれている。血に濡れた少女は、とっさにその宝石にすがった。


――――お願い、ぼくを助けて!


 甚振られ血まみれになった少女は、苦悶と絶望の中、青く輝く宝石を握りしめ――光に包まれた。 
 そのとき、少女は、莫大な力を手に入れる。願いを叶える宝石――ジュエルシードの魔力と類まれなる 彼女の魔法の才能が合わさり奇跡が起きた。
 少女は、突然の出来事に一瞬戸惑うが、すぐにやるべきことを成した。いままさに襲い掛かろうとしていた悪魔を紙切れのように、引き裂きばらばらにする。


「アは、アハハハハッ!!」


 復讐の憎悪に支配された彼女は、狂ったように笑い声をあげる。いままでにないほど力が湧いて出てくる。気分は絶好調だ。とりあえず下種の悪魔は退治した。
 さあ、次はどうしよう、と考えたところで、


 ――――ぴくりとも動かない父の姿を見てしまった


 一気に頭が冷えていく。後に残されたのは、親を失うことを恐れる幼子だった。高ぶる気持ちも押さえられ、必死に、考える。


「そ、そうだ……び、病院に連れて行かないと。救急車! 救急車を呼ばないと!」


 今日9歳になったばかりの少女に、冷静な判断などできるわけがない。まずは、おとうさんを助けないと、電話を取りにいかないと。病院にいって、お医者さんに診てもらえばきっと助かる。


(またおとうさんに会える)


 身体の一部が抉れ、大量の血を流す姿は、明らかに手遅れだった。だが、幼い少女には、それがわからない。きっと大丈夫だと自分に言い聞かせながら、急いで受話器に縋り付いた。


「あ、あれ、救急車って何番だっけ? 110番は、警察だから……ああ、早く、早くしないと」


 そのとき、微かに自分を呼ぶ声が聞こえた。――――と呼ぶこの
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