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『八神はやて』は舞い降りた
第6章  『八神はやて』
第49話 家族が増えるよ!! やったねはやてちゃん!
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き、ビーダマ、ビーズなどなど。どれも、彼女にとっては、宝物だった。
 そんな少女にとって、大きめのビーダマサイズの綺麗な宝石は、宝の山にみえたのだろう。 


「いち、にい、さん……えっと、はち、きゅう。9個もある!」


 笑顔で、足元の宝石を拾い集める。あちこちに飛び散っているせいで、集めるのは大変だった。だが、満足のいく収穫だった。掌に載せた、透き通るような青く光る宝石を眺める。
 よくみると、記号のようなものが中に見えた。ひとつひとつに、異なる記号がはいっている。なんの記号だろう、と考えて、思いつく。


「そうだ。時計に書いてある変な文字とおなじだ」


 たしか、あれはローマ数字だと、父が言っていた覚えがある。あいにくと、小学校低学年の彼女では、番号を読むことはできなかった。が、一つ謎がとけたことで、ご機嫌だった。 父に自慢しようと、元気よく持って帰る。
 友達と遊べずに図書館に引きこもっていた少女の憂鬱な気分が晴れた。今日は、いいことずくめだ。少女の父は昔クリスチャンだったらしい。


 だから、神に感謝した。


(ちょっと早いけど、神様がくれた、誕生日プレゼントなのかなあ) 


――――そう、だって今日は6月3日。明日は、ぼくの誕生日なんだから。


 誕生日プレゼントには、前から欲しがっていた子犬をねだっていた。すでに父からは了承を得ており、やったね! と思わずバンザイをして笑われてしまった。家族が増えるよ、と誰かに自慢したくなりつつ、少女はまだ見ぬ新しい家族に思いをはせていた。





「おとうさんっ!!!」


 少女は、目の前の光景が、信じられなかった。誕生日を控えた夜、いつも通りに、父とベッドで寝ていた。
 それが、夜中に突如、大きな音が響きたたき起こされた。混乱しつつ目が覚めた少女が見たものは、


 ――――彼女を庇うかのように、覆いかぶさった血だらけの父の姿だった。


「ひッ!?!?」


 彼女を守るかのように重なる父の向こうには、醜悪な異形の姿があった。父が時折話してくれる物語に登場する悪魔そのものだった。
 訳も分からず、頭の中は、フリーズしてしまう。その一方で、どこか冷静な部分が、このまま死ぬんだな、と告げていた。脳裏に、様々な疑問が駆け巡る。


 なぜ、父が血まみれなのか
 なぜ、自分は、殺されようとしているのか
 なぜ、目の前の悪魔は、笑っているのか


「ああ、あああ、うああああぁあぁぁぁぁっ!!!」


 ぴくりとも動かない父に縋り付き、慟哭する。物言わぬ彼をみて、絶望する。溢れ出す感情のまま、絶叫した。


「うぐっ!」


 悪魔は、自らを「はぐれ悪魔」だと名乗った上で
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