第42話『違和感の正体』
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とだ。
先程王都へ入る際、晴登は門兵にウォルエナについて伝えた。門兵は「確かめてくる」と一言残し、森へ入っていった。
初めは冗談かと疑われたが、きっと真剣に話したから信じてくれたのだろう。
証拠の氷像だってちゃんと有る。これで王都への危険は無くなったはずだ。一件落着である。
「…と、着いた」
ユヅキがそう洩らし、ラグナの時計屋の扉を開ける。
よく考えると、これが最後のラグナとの対面。思い残すことがないように別れなければ。
「いらっしゃい!・・・って、何だお前らか」
「あれ、珍しい」
「珍しいとは失礼な。俺だっていっつも寝てる訳じゃねぇよ」
頭を掻きながら、バツの悪そうな顔をするラグナ。
最初のかけ声から察するに、今日はやる気が有るといったところだろうか。
「何せ今日は大行事、『大討伐』があるからな!」
「討伐…ですか?」
「あぁ。北方で大量発生したウォルエナを駆除する祭りだ。だから今日は人がガッポガッポ・・・」
「何ですかその祭りは!? そんなので客が来る訳ないじゃないですか・・・あれ? それってどこかで…」
晴登はラグナの言葉の中に聞き覚えがあり、途端に口を閉じる。晴登が確認の為にユヅキの方を振り向くと、彼女は頷いて応えた。
もしかしなくても『大討伐』は、昨日の“ウォルエナ騒ぎ”が成就した結果らしい。
晴登が急に黙り込んだから、ラグナは心配そうに訊いてきた。
「なんだ、知ってるのか?」
「昨日の内にそれっぽい話を聞いたんですよ。騎士がどうたらこうたら…」
「うーん…確か王都の騎士の半分は討伐に向かったって話だ」
「ホントに大掛かりなんですね」
王都の騎士団の規模はよくわからないが、それでもこの広さだ。数百人は行ったのではなかろうか。
「大掛かりなのも仕方ない。“人喰い”って言われてるからな。捕まったら一発でガブリだ」
「表現がかわいくても言ってることはすごい恐いですよ。さっき襲われたとき喰われなくて良かった・・・て、やべ!」
「襲われた…?」
ラグナには心配を掛けまいと黙っていたつもりの事柄が、不意に口から飛び出てしまう。
口を塞ぐも時すでに遅し。ラグナの目は見開かれ、今の発言に興味津々といったところだ。
「どういうことだ? ハルト」
「う…」
さすがに逃げられないと思い、晴登はユヅキに応援を求めるも、「諦めて」というジェスチャーを返される。
「じ、実はカクカクシカジカで・・・」
「・・・で、襲われたってか? 無事だったから何も言わねぇけど、まず出会う時点で災厄以外の何でもねぇぞ」
「はは…」
ラグナは呆れ
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