第42話『違和感の正体』
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だ。
つまり、今の攻撃は遠距離攻撃。ならば、対処のためにその原理は知っておきたい。
「“光線とか何か放つ系”なのか、それとも“見える範囲を攻撃する系”か。後者が圧倒的に面倒だが、そのどっちかか?」
「ウォルエナの魔法は“練魔砲”、つまり前者だよ。体の中の魔力を練り上げ、それを光線として放つ。これの厄介なのが、個体によって属性から威力まで色々変わるっていうこと。…にしてもよくわかったね? 初見なのに」
「…地元の知識ってやつだよ」
毎日毎日マンガを読むという日課が、ここにきて生きる。現実では絶対に不必要だった雑学が、この異世界には通用するのだ。
とりあえず、予想が的中したことを素直に喜びたい。
「じゃあ少しは勝算も見えてくるな」
「え、戦う気!? ダメだよ、アレでも人喰いなんだから!」
「思ったけど、このまま逃げてもあいつを王都に連れていくだけだ。だったら、ここで仕留めておいた方が良くない?」
「それは、そうだけど…」
晴登は今をもって思いついた正論を放ち、ユヅキを押し黙らせる。
何をするのが最善なのか。それは逃げることなのか。
・・・違う。
今を考えるんじゃなくて、未来を考えろ。
その場しのぎがどこまで持つかはわからないのだ。
「俺ら2人なら…できるんじゃないか?」
「でも…」
「恐がる必要はない。俺があいつを絶対に近づけないから。だからその間に、撃退でもいい、奴を王都から遠ざけるんだ」
晴登の提案にユヅキは口ごもる。
確かにこれは危険な案だ。ウォルエナはあくまで人喰い魔獣。どんな安全策だろうと、拭えない恐怖がある。晴登だって、熊を撃退した経験が無ければ、尻尾を巻いて逃げていただろう。
だからユヅキが拒否するなら、その時は逃げる。ウォルエナを相手に、1人では勝算は薄い。動きを止めるのが関の山だろう。だからこそ、2人で力を合わせる必要があるのだ。
ユヅキの選択に、全て委ねる。
「うーん…」
「時間がない。早く決めて」
その意図を汲んでかどうか、ユヅキは逡巡を見せた。
言ってしまえば、晴登の言った言葉は「命を預けろ」みたいなものだ。迷うのも無理はない。
でも事実、時間もない。
この距離なら、ウォルエナはすぐに詰めてくるだろう。
それまでに・・・
「…わかった。ハルト、やろう」
「いいのか…?」
「ハルトが言い出したじゃん。ボクも付き合うよ」
苦笑しながら、ユヅキは言う。
晴登は、それが彼女の選択なのだと理解した。
「あ、危ないんだよ…?」
「ボクは恐いよ、こんなこと。でも、ハルトが守ってくれるんでしょ?」
「あ…」
無垢な笑顔
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