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真田十勇士
巻ノ六十八 義父の病その十二
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「人の道は全て教えてくれたのが」
「義父上か」
「そうでした」
 まさにというのだ。
「これ以上はない素晴らしい父上です」
「そうであるな」
「父上ならば」
 竹は夫にあらためて言った。
「必ずです」
「病であろうとも」
「最後まで武士として務められます」
「そうした方じゃな」
「まことに」
「拙者もそう思う、父上そして義父上はな」
 まさにと言うのだった。
「拙者の範じゃ」
「お二方が」
「そしてお館様もな」
「信玄様ですね」
「実は四郎様もじゃ」
 武田家の最後の主だった勝頼もというのだ。
「素晴らしき方だった」
「その様ですね」
「色々と教えて頂いた」
 幸村は勝頼のことは遠い目で話した。
「武士として人としてな」
「そうでしたか」
「お館様には元服前だったが」
 幸村が幼い頃だ、このことは。
「しかしな」
「信玄様にもですか」
「教えて頂いた、そして今はな」
「義父様と」
「うむ、義父上にじゃ」 
 昌幸と大谷、二人にというのだ。
「何かと教えて頂いておる」
「そうなのですね」
「書からも人からも学べる」
 この二つからというのだ。
「多くのものがな」
「だからですか」
「これからも己を鍛えていく」
「そうされますか」
「武士としてな」
「では私もです」
 竹は夫に応えて言った。
「これからもです」
「拙者と共にか」
「歩いていきます」
「武士の妻の道をか」
「そうしていきます」
「頼む、人の先はわからぬが」
 それでもとだ、幸村は竹に言った。
「拙者はこのままじゃ」
「武士の道をですね」
「歩いていくからな」
「だからこそ」
「そなたもな」
「武士の妻の道をですね」
「歩いてもらいたい」
 こう竹に言うのだった。
「是非な」
「それでは」
 竹も夫に応えた、そのうえで二人で屋敷の中に戻りそのうえで共にやるべきことに入った。そしてその頃聚楽第では。
 秀次は大谷と会い彼の言葉を聞いてだ、唸って言った。
「そうか、御主と佐吉もか」
「はい、あちらにです」
「行くか」
「そして軍監を務めます」
「虎之助達のじゃな」
「そうしてきます」
「大丈夫か」
 大谷のその頭巾に覆われた顔を見てだ、秀次は問うた。
「敢えて言うが」
「ご心配なく」
「わしとしてはな」
「それがしにはですか」
「無理はして欲しくないが」
「しかしです」
「二十万の大軍じゃ」
 それだけの数の軍勢だからというのだ。
「それだけの者でないとな」
「軍監は、ですか」
「務まらなぬ」
 だからこそというのだ。
「御主とじゃ」
「佐吉ですか」
「太閤様が言われた」
 秀吉、彼がというもだ。
「直々にな」
「では」

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