Side Story
少女怪盗と仮面の神父 36
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と早朝の間に、アーレスト神父がブルーローズと接触。
協力を請われ、教会と女神像の利用方法を提案してる。
六日……七日前には、既に宣告されていたとしたら。
暗殺組織がバーデル軍を誘導しながらネアウィック村へ移動してる頃に、エルーラン王子がシャムロックを動かす賭けを通じてミートリッテを伯爵の後継者に指名した理由。
イオーネが姿を見せているまさに今、王子が多くの騎士を連れて大森林に現れた理由。
それはきっと『反アルスエルナ派を釣る囮』と『釣れた獲物の回収』だ。
シャムロックの手口を把握していた王子は、出国したばかりの商人を狙うバーデルの殺人犯が、ブルーローズの被害者であり、アルスエルナに害意を持つ者であると読んだのだ。
だからネアウィック村とシャムロックの情報をイオーネ達が拾えるようにそれとなく流し、アルスエルナの王族の力が利く範囲内に招き寄せて留める罠を仕掛けた。
イオーネと最初に顔を合わせた時、『シャムロックは、お前達のエサとか盾だと言いたいわけ?』と尋いたミートリッテに対し。
イオーネは『いいえ。あいつらにとってはそうでも』と答えた。
実際その通り。
シャムロックをエサにした真の釣り人は、エルーラン王子だ。
イオーネは、自分達を捕える為の罠だと解っていてエサに噛みつき、逆に彼を釣竿ごと混乱の海へ引きずり落としただけ。
自身の背後に迫る者を知っていたから、必要な材料を一ヶ所に集めた上で賭けを成立させ、王子が言い逃れできない状況を作ったんだ。
「……ゃ、」
そう。
爵位継承の承認権を持つ神父。
殺さずに拉致した一般民の少女。
村内に残した『地図』で招いた義賊。
辺境に現れたアルスエルナの王族と、百人もの騎士。
これらはあくまでも、アルスエルナ王国を貶める為の材料。
イオーネが本当に呼んでいたのは……『バーデル軍』だ。
「ぃや」
顔の前に持ち上げた両手。
暗殺者に断ち切られた鎖が ヂャリ と小さく鳴る。
ミートリッテとベルヘンス卿を切り離した、銀斧の攻撃。
あの時はミートリッテがバーデル国内に居たから死んでも構わなかった。
いっそ死んだほうが、イオーネには好都合だった。
爵位継承の話をバーデル王国の人間に聴かれて困るなら、眠らされていたミートリッテは、なんらかの理由を背負う一般民として連れ出された筈。
もしかしたら後継者候補とは言ったかも知れないが、有力者の候補が村に危険を残して国外逃亡とか、政治面の弱みを他国に見せるとは思えない。
そんなミートリッテをイオーネ達が殺せば、アルスエルナの騎士が護り、一度は越境した暗殺者達が追いかけてまで殺したこの少女は何者だ? と、バーデルの軍人達に疑問を
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