第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#32
ETERNAL PUNISHMENTW〜Little Flower〜
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はアノ男だった。
あの御方が眼をかけていたのも今ならよく解る。
意想外の発想、経験による知識と演算、状況に於ける判断力が凄過ぎる。
スタンドの転送する映像、年少であるにも関わらず
精神的に己を上回った一人の 『スタンド使い』 に男は敗北を認めた。
肩にかけた 『本』 から魔獣の頭部を成した炎が出現し、
分解された弾頭とコアを一呑みにする。
幾ら威力が有っても兵器は兵器、
反応しなければ化学物質の固まりに過ぎない。
「……殺せ」
スタンドから意識を切り、男は来るべき結末を静かに見据えた。
眼前、一メートルの距離まで迫った美女の右手には、
狂暴な鉤爪状の炎が燃え盛っている。
最早足掻こうとは想わない、いつか来るべき時が今だったというコト。
生命の実感などなかった、生きながら死んでいるような人生だった、
あの御方に出逢うその時までは。
後悔はない、恐怖もない、ただただ無念だった。
「以外に悄らしいのね? じゃあ……」
美女の口唇に冷酷の色が浮かび、蒼き爪牙が鋭く唸りを上げた。
「堕ちなさい……死ぬより辛い地獄へ……!」
一閃。
闇に包まれた意識と視界に刹那、一迅の閃光が瞬いた。
最後の、光。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!
真一文字に斬り裂かれた双眸、
赤いまがくしにように噴き出した
鮮血は燻る残火に炙られ霧となる。
苦痛と暗黒により崩れた男は、
血煙薫る双眸に手を当てながら声を吐き出した。
「ぐっ……おぉ……何故、だ?
何故急所を外した? 情けをかけるつもりか……!」
「フッ、言ったでしょ? “万倍にして返す” って……」
果てない闇の向こう側で、忌むべき女の声がする。
「そうねぇ、例えば、自ら死を望んでいる者に対して、
そいつを「殺す」のって、
本当に 『罰』 を与えるコトになると想う?」
「――ッ!」
背骨が氷柱となったように走る戦慄、ジワジワと、
実体を伴わないまま漠然と拡がっていく怖気。
「おまえ? そのDIOとかいうヤツに、
“見捨てられる方が” よっぽど辛いでしょう?
そいつに 『必要とされなくなるコト』 の方が、
よっぽど苦しいでしょう? フフフッ」
苛虐的な陶酔に、甘く痺れる女の真意。
それを明確に認識した事により解る、圧倒的な冷酷さ。
終わらない、 “終われない” 際限のない苦痛と絶望のなか、
それでも生き続けなければならない “地獄” を
知っていなければ至らない真理。
「おまえの 『能力』 は、コレで封
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